2008年2月13日(水曜日)14時~17時20分
世界貿易センタービルディング WTCコンファレンスセンター 38階 会議室マリーン
世界の最先端をゆく日本のモノづくりが直面する課題は、他品種・小ロット、短期生産をどう効率的にこなすかにあるともいえます。
市場ニーズは今後ますます多様化し、様々の製品を、必要とされる数量だけ、スピーディーに供給することが求められています。メーカーにとって、生産ラインを個別受注生産に柔軟に、かつ効率的に対応していくことが一つの生き残り策となりつつあるのです。
glovia.comプレミアクラブセミナーの第3回目は、ダブル基調講演としてテーマを「個別受注生産はもはや例外対応ではない」と掲げ、2人の講師の方にご登壇いただき、このもっとも今日的な生産管理の課題にフォーカスした内容をご講演いただきました。
決算期をひかえた多忙な時期にもかかわらず、セミナー会場には、リピートご参加者様を含め、満席となりました。保存版詳録レポートに先だち、そのエッセンスをダイジェスト版としてお届けします。
1980年代から約1200の工場をつぶさに歩き、POP(生産時点情報管理)を提唱、導入を支援してきた山口氏によれば、その経験のおよそ2割の工場が個別受注生産への対応であったと自己紹介をされました。
そこでの課題は、営業利益、直接費圧縮利益の限界をどう突破するか。そのためには、まず「第3の利益」に目を向けることであるとの持論を展開。数多くの製造現場の現状を踏まえた分析だけに説得力がありました。
見込み生産から個別受注生産へのシフトにおける最大の課題は、従来型見込み生産の手法と、損益ブレ幅の大きな個別受注生産手法の混在による利益の低減。 ブレークスルーは、マネジメント「管理」、コントロール「管理」の2つの「管理」の意味を新たな視点から認識し直してみるところにあると力説、その上で攻めのコントロール管理法の具体例が示されました。
作業工数、個別実績原価、品質管理、機械稼働状況、在庫、そしてリードタイム等の管理を決算書のための管理から、生産効率のための管理に昇華させることが急務との提言には、セミナー参加者の大きな関心が集まりました。
個別受注生産において大きな課題となるのが在庫の増大にいかに対応するかです。従来、リードタイムを短縮し、受注にスピーディーに対応するためには材料在庫、仕掛品在庫、製品在庫等を「ある程度」保持しておこうとの担当者心理が働き、結果的に「ある程度」が積もり積もって在庫が拡大(ブルウィップ効果)することが知られています。
見込み生産と個別受注生産が1つの工場において同時並行で進む昨今の製造現場では、在庫を増大させる要因がさらに複雑にからみあうため、生産性と収益性の向上を両立させることはさらに難しくなっています。
個別受注生産のパフォーマンスを最大化させるには、市場ニーズに応じた製品ライフサイクルの変化を見極め、生産形態の混在により複雑化する生産ラインをよくコントロールする必要があります。
そのために必要な生産システムに求められる要件を見極めることこそ第1歩と強調。受注は1回だけだろうと予想される個別受注についてどう対応するべきか。直接・間接的コスト削減の観点に立ったリードタイム短縮とは。良・不良品の判定保留が多い日本特有の製造現場の事情に対応した生産システムとは等、個別受注生産の効率向上のための着眼点がわかりやすく示されました。
見込み生産主流から個別受注生産の混在へと移り変わる新しいモノづくりの流れの中で、「カイゼンのアイデアが枯渇している」、あるいは「従来の生産システムではこれ以上のパフォーマンスが得られそうにない」と感じている現場担当者は少なくないのではないでしょうか。
今回のダブル基調講演を聞き終えたセミナー参加者の方々が、新しいモノづくりのための生産システムにおいては個別受注生産を例外対応ですませてはならないとの認識を確かにしたものと思われます。



