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SaaS型フロントシステム導入を機に
ベテランに集中し“ブラックボックス化”していた
予約受付業務の視える化で業務効率化を推進

興正寺宿坊 興正会館様


1212年の創建と伝えられる京都の名刹、真宗興正派本山・興正寺(こうしょうじ)。その宿坊である興正会館は、長年手作業と記憶に頼ってきた予約受付業務を視える化し、経験の浅い若手職員に引き継ぐため、フロント業務のシステム化に取り組んだ。SaaS型フロントシステムの導入に踏み切った同館は、さっそく試験的運用をスタート。本格運用を前に、これまでにないサービス展開を構想するなど、新たな営業の機運が生まれてきた。

[ 2011年1月27日掲載 ]


導入事例概要
業種: 宿泊業
ソリューション: 予約受付業務の視える化
製品: GLOVIA smart ホテル SaaSサービス

「お客様の言葉」

システムのバージョンアップは富士通のデータセンター側で行うので、いつも最新の機能を利用できる点や、メンテや運用もデータセンターに任せられるなど、リースと同じような感覚で利用できるのです。資産にもならない点が気に入りました。

課題と効果
1 手書きの宿泊台帳による予約受付業務にともなう記載ミス・漏れのリスクを低減したい 若手職員がシステムの試験的運用に取り組み、予約受付業務のシステム化に目処がついた
2 同館をよく利用する数百人の顧客管理を個人の記憶に頼っていたため、業務の引き継ぎが困難だった 顧客情報の整理・蓄積基盤が整い、困難と思われた顧客情報の引き継ぎの目処がついた
3 月、季節ごとの客室稼働率、1、2ヵ月先の空き室状況の把握ができていなかった 様々のデータを蓄積・分析していく基盤が整い新たな営業展開の道筋が見えてきた

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導入の背景

宗派関係者のほか一般宿泊客にも利用される古都の宿坊

興正寺は親鸞聖人を開祖とする真宗興正派の本山。その敷地内にある興正会館は、1970年(昭和45年)に、真宗念仏弘道の一翼を担うべく、宗派興正寺関係者のための宿坊として建てられた。当初、は関係者のみの利用に限られていた同会館だが、広く一般の旅行者に向けた宿泊施設としても利用されるようになった。客室と大広間はもちろんすべて和室。簡素だが凛とした雰囲気が漂っている。また手入れの行き届いた日本庭園を望む檜造りの浴室を備えている。

毎朝8時からは晨朝のお勤めが行われていて、一般宿泊客の参拝は自由となっている。このように、一部に宿坊としての雰囲気を残す同会館は、旅行・観光ガイド、旅の雑誌などにも紹介され、比較的安価な宿泊料金などから、年配客、修学旅行客、そして外国からのお客様にも根強い人気を博している。

手書きの宿泊台帳と記憶に頼る予約受付業務

千葉 周司
真宗興正派宗務所 財務部 主任

同会館の受け付け業務、部屋の掃除、床の準備、朝食の用意などは、すべて僧籍を持つ職員の手で行われている。その同会館がフロントシステム導入を検討し始めたのは1年前。その背景には複雑化する予約受付業務を、シンプル化しなければならないという課題が顕在化しつつあった。真宗興正派宗務所財務部主任で同会館の運用にかかわる千葉周司氏は、「長年にわたり館長1人で担っていた窓口業務を、定年を機に若手職員に引きぐために、どうしてもシステム化が必要だったのです」と述べる。

同館の予約受付業務は、開館以来館長を務める山口尚克氏の手作業と独自の料金体系、そして記憶力によりうまく進められていた。電話で受けた予約内容は、2ヵ月ごとにファイル化された予約台帳に手書きで書き込まれる。とくに難しいのは人数に応じた料金説明と部屋の割り振りだった。同館の客室は、部屋ごとに定員が異なる。そのため1人で1部屋を利用する場合、多人数が複数の部屋に分かれて利用する場合、それぞれで大小異なる部屋を利用する場合の料金が事細かく決められていた。

複雑きわまる業務を見直しフロント業務をシステム化

また同館の宿泊客は、興正寺関係者、その他の寺院関係者、一般客など多様で、その日訪れた宿泊客が一般客か、宗派関係者かを見分け、それぞれ的確な声掛けや対応をするのも宿坊の館長ならではの役目。つまり多様な顧客の管理も、すべて館長の頭に入っていたのだ。「まずは複雑な料金体系をシンプル化し、その上でフロントシステムを導入し、顧客管理をしっかり行おうと考えました。とくに手書きによる予約管理をそのまま引き継いだ場合、ミスや抜けの可能性が出てくるので、やはりシステム化は不可避です。手書きからパソコンを使ったシステムへの移行は一大決心となりますが、館長だけでなく誰もが予約に対応できる業務環境が整うと考えました」(千葉氏)。

選定の理由

客室数10の小規模宿泊施設に見合う予約システムを求めて

千葉氏はシステムの選定・導入に先立ち、フロントシステムを活用するホテルを複数調査した。しかし興正会館のフロント業務にマッチしそうなシステムは見あたらなかったという。「客室が10室の当館としては、大規模ホテル向けのシステムを100万円以上もかけて導入するわけにはいきません。かといって初期投資を押さえるため10万円台のパッケージソフトを導入する選択肢は将来が心配でした。10年、15年後にシステムの更新が終了するなどして、せっかく蓄積したデータを他のシステムへ移すといった事態も考えられ、かえって多大なコストがかかることが分かりました」。

そのような中で、顧問弁護士より富士通のSaaS型フロントシステムの提案を受けたという。その後、同宗務所財務部の中嶋望氏、新たに興正会館職員として迎えた大平和貴氏、そして館長の山口氏の4人によるミーティングを重ねた。千葉氏は導入決定の理由についてこう述べる。「初期費用を抑えられ、月額料金で利用できるところが当会館に向いていると思いました。またシステムのバージョンアップは富士通のデータセンター側で行うってもらえるので、いつも最新の機能を利用できる点や、メンテナンスや運用もデータセンター任せられるなど、リースと同じような感覚で利用できるのです」。

導入の工夫と今後の展開

しっかりしたサポート体制に支えられマイペースのトレーニングを開始

大平 和貴
真宗興正派宗務所 興正会館

2010年9月、システムは無理のないスタイルで利用され始めた。館長の山口氏とともに予約受付業にあたる大平氏はこう語る。「当面の目標は、予約業務のシステムへの移行です。わかりやすい新宿泊料金が2011年の早いうちに決まる運びなので、それまでに操作に習熟できるようマイペースでシステム操作のトレーニングをしています」。大平氏は窓口業務や客室の掃除の合間を縫うようにシステムを操作し、本格的稼働に備える毎日だ。「あらかじめ聞きたい事をまとめてメールし、手の空いた時間に電話をかけて教えてもらい、スキルは上がっています。これからパソコンにも慣れ、システムを操作してみたいと張り切っている館長も、しっかりサポート体制があるので安心です」。

導入効果と今後の展開

見えてきた新しい宿坊のスタイル

中嶋 望
真宗興正派宗務所 財務部

システムの試験的運用が始まり、予約受付業務の効率化が毎日着実に進むにつれ、新しく見えてきた事があるという。例えば、空き部屋の有効利用もそのひとつ。これまで同館が提供するのは1階食堂を利用した朝食のみだった。しかし、翌月、翌々月の空き室状況を簡単に閲覧できる機能があるので、空き室を部屋食専用として確保することも可能になる。「部屋が空いているのなら、仕出しの精進料理をお出しする部屋として活用するというサービスも可能です」(大平氏)。

朝食付き宿泊サービスだけでなく、宿坊ならではの新しいサービスを手がけるようになれば、月ごと、季節ごとの稼働率などのデータを参考にする必要も出てくる。同館の経理事務を担当する中嶋氏は「新システムのデータが蓄積すれば、客室の稼働率をきめ細かく把握することも可能なので、上司に対して新しいサービスとその内容に応じた価格を提示提案していけると思います」と語る。

システム導入で意識の変化

千葉氏は、システムの稼働にこんな期待を寄せている。「これまでは、どちらかというと空き室の状況にあまり目が行かなかった傾向がありました。しかしシステムの導入により、『せっかく空き室があるのだからサービス向上のために何か利用できないだろうか』との意識が芽生えてきたのだと思います。システムが本格稼働し、様々のデータを取り出せるようになることで、これまでとはひと味違う宿坊スタイルを実現する手がかりが得られると考えています」。

富士通は、宿泊施設の規模にとらわれず、業務の効率化を実現するSaaS型サービスを追求し、観光立国を推進するホテル、旅館を支えていく。

【興正寺宿坊 興正会館様 概要】

所在地 〒600-8261 京都市下京区醒ヶ井通七条上る華園町70番地
代表者 宗務総長 藤井 爲行氏
設立 1970年(昭和45年)
ホームページ 興正寺宿坊 興正会館様 ホームページ

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