
ノンカスタマイズで短納期・低コストを実現
経営と業務を短期間で革新
ERPパッケージが日本に紹介された頃から「ノンカスタマイズが理想」と推奨されてきた。とはいえ現実は「とてもそのままでは自社の業務にそぐわない」として、カスタマイズを重ね、結局手組みと変わらない構築期間とコストが発生してしまう失敗例が多かった。しかし、新新薬品工業株式会社はトップダウンで、完全なノンカスタマイズを断行。GLOVIA-C生産情報システムPRONES製薬テンプレートを、短納期と低コストで導入し、経営と業務現場を革新した。
新新薬品工業株式会社
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「富山の薬」といえば「置き薬」が有名だ。都市部では見られなくなったかもしれないが、地方の家庭では置き薬が一般的である。薬売りの業者が定期的に訪れ、日常に必要なかぜ薬、咳止め、頭痛薬、痛み止め、貼り薬などを置いていく。保証金もなしで使った分だけの後払い。利用者にはとても便利なシステムであり、日本の文化といっていいかもしれない。
その置き薬の主な生産拠点が富山であり、代表的なメーカーの1つが新新薬品工業だ。新新薬品工業の創業は明治9年。全国に置き薬を販売している業者が集まって、専門的に製薬工場を作ろうということで発足した会社である。それまで、家庭内で細々と作っていた置き薬を、会社組織で一定の品質と量を確保するために設立された。
同社の筆頭株主となっているのが、兵庫県西宮市に拠点を置く布亀株式会社(以下布亀)であり、全国に94営業所を持ち、置き薬業界のビッグ3に入る。新新薬品工業はその布亀グループ会社の1つとなっている。
主な製品としては、ドラッグストア(薬局)向けに消炎鎮痛剤「プロナインドメタシンゲル1.0%」、非ステロイド鎮痒(かゆみ止)剤「ワルツ」、コエンザイムQ10にヒアルロン酸やコラーゲンを加えた保湿クリーム「ウレッシュQ10クリーム」など。医療用医薬品の受託生産としては、外用剤、カプセル製剤など。そして、布亀ブランドとして「新新胃腸薬S」「布亀かぜゴールドカプセル」「子供かぜ甲子圓顆粒」など、医薬品、医薬部外品、化粧品、健康食品を幅広く生産している。
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新新薬品工業株式会社
システム開発部 リーダー
布目 久則 氏
「かつては布亀向けに置き薬を作っていればよかったのですが、医科向けや薬局向けなど、ルートが広がり、売上が拡大してきました。それまで構築していた布亀専用の販売管理システムでは、カバーしきれなくなりました」と新新薬品工業 副社長 奥田鉦蔵 氏はシステム刷新の背景を語る。
かつてはグループ企業として、布亀ブランドの置き薬を生産するのが新新薬品工業の業務であった。しかし、企業の成長を図るため医科向けや薬局向けの製品、さらに大手製薬会社のOEM製品も手がけるようになる。そこで、課題となったのが、既存の販売管理システムであった。
旧システムは布亀に特化したオフコンシステムであり、全国94営業所からの受注と各営業所への配送指示、それら売上集計が中心であった。このオフコンでも、医科向けや薬局向けの伝票も発行できるが、その程度が限界。在庫管理も生産計画もまったく手作業に頼っていた。
「副社長と共に、業務全体の管理品質を向上しなければならないと、2005年当初から話し合いました」と、同社 システム開発部 リーダー 布目久則 氏は語る。
システム刷新の方向性は2つあった。1つはステップを追って重要順に業務を改善していくこと。もう1つは理想的なパッケージをベースに一気にシステム化すること。
「これには悩みました。ステップを追っていけば、在庫管理が最優先で初期投資は500万円くらい。在庫はもちろん、生産、販売、原価、品質、ここまで一気にやると数千万円はかかる。1桁違います。いずれを社長に提案するか、当日の朝、いえ30分前まで悩みました」と、奥田氏は振り返る。
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2人の真剣な協議の結果、直前まで500万円であった提案を、トータルなシステム刷新の数千万円に切り替える。ところが、これを受けた社長からの返答が「考え直せ!」であった。身の丈を知り、自社に最適なシステムを考えよと差し戻されたのである。
しかし、驚いたのはその2日後のことである。数千万円の方向で、パッケージ導入を考えろと、電話が入った。「これにはびっくりしました。社長の経営者としての経営判断だと思います」(布目氏)。これを受けて、各社パッケージベンダーへ相談する。この際に、富士通にも問いかけ、GLOVIA-C生産情報システムPRONESとその製薬テンプレートを知ることになる。
これを契機にプロジェクトが発足し、少数精鋭での検討が始まり、社長への提案を検討した。「最終提案に残った中で、実際のSE面談が実施され、富士通のSEが社長の眼鏡に止まりました。このSEがすばらしい方でした。これほど優秀で業界に精通しているSEなら、我が社の将来を担うシステムをまかせて大丈夫」と、確信したという。その上で出た社長の結論が「ノンカスタマイズ」であった。
「富士通が我々の業界を研究し、その実績も積み、これで万全として提案してきた製品である。それに手を入れるのは傲慢である。それで業務が滞るならまだしも、帳票が見づらい程度でカスタマイズするのは許さない。どうしてもというのであれば、修正の費用対効果を文書化して提出しなさい」との達しまで出たと、布目氏は語る。
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同社は、GLOVIA-C生産情報システムPRONES製薬テンプレート完成後の県内実質的な第1号ユーザーとなった。製薬テンプレートは、製造業者の製造管理と品質管理規則(GMP)、医薬品や関連機器販売業者の品質管理基準(GQP)をカバーしている。「GMP、GQPへの対応は当然として、」PRONESは充実した販売管理、生産管理、原価管理、在庫管理、品質管理機能が用意されていました。現場の業務も変わりました。弊社にとって革新的でした」と、布目氏は強調する。
2005年9月からプロジェクトが発足し、翌2006年2月から旧システムと並行稼働。3月から本格稼働している。その、急激なシステム化に対して現場から抵抗はなかったのだろうか。「もちろん当初はありました。連日プロジェクトメンバーで話合いました。また、定着化にも全員で努力しました。そしてPRONESの操作性が極めてすばらしいのです。現場ではPRONESの操作を数日でマスターしました。トップダウンだからと思われるかもしれませんが、それだけではありません。期待以上にPRONESは現場に浸透しました」と、布目氏はPRONESの操作性を認めている。
残っているステップとして、操業実績・装置制御・秤量連携などの実施がある。これらに関しては、パッケージの機能としての提供を求めており、富士通も具体的な対応の検討に入っている。
また、稼働後に見えてきた課題もある。顧客企業によって異なる各種データ抽出を効率化したいとの声や、ラベルを打ち出したいなどの要求もあがっている。それら調整も視野に入っている。
家内制工業から工場化へ、その工場の近代化へ。そして次世代に生き残るための数値データに基づいた科学的な生産と経営管理へ。GLOVIA-C生産情報システムPRONES製薬テンプレートは、新新薬品工業の飛躍をサポートしている。
パートナーメッセージ
富士通株式会社
富山支店
藤岡 大助 氏
この度は新新薬品工業様のシステム構築のお役に立つことができ、大変光栄でした。我々のSEとパッケージを信用頂いた社長のご英断と、プロジェクトメンバーをはじめとする現場の方々のご協力が、短期間・低コストでの導入実現に結びついたと確信しております。今後はさらなる『経営の見える化』実現のお役に立てるよう、パッケージの機能充実を図っていきたいと考えております。


