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協和発酵工業 様 導入事例 2
月刊ソリューションIT 03年10月号掲載記事ERPパッケージを検討する際には、「フィット&ギャップ分析」を実施するのが常だ。
協和発酵でも同様の分析を行った。ただし、GLOVIAの導入がほぼ決定した後にだ。アドオン開発のボリュームを確かめるためだったと言う。
中山主査は「パッケージ選択の決め手はDBのアーキテクチャです。業務プロセスのフィット率ではありません」と断言する。「フィット率が何割以上ならERP導入は成功する」といった指標があるわけではないからだ。
またアドオン開発は絶対悪のように言われているが、入力画面や帳票についてのアドオン開発は、大した問題ではないと見ている。「いくら業務プロセスや画面、帳票でパッケージを選択したところで、DBに必要な項目が無かったら、お話にならない」と言う。
今回も、標準の出力帳票では項目が不足していたため、相当の追加開発が発生した。また入力画面も全て独自仕様で作り込んだ。入出力はグループ各社のルールや業務フロー、企業文化や操作性を考慮すべきだと考えたからだ。「業務をパッケージに合わせるのがBPR」という声もあるが、無理矢理パッケージに合わせたため、かえって業務効率の低下を招くケースもある。「パッケージ標準の入出力機能が、個々の企業にぴったりマッチするなど、あり得ません。海外製品だったらなおさらです」(同)とのことだ。
GLOVIAを選択した理由には、コストもあった。協和発酵では、海外と国産あわせて5社に見積りを依頼した。「詳細なアドオン要件などは提示せず、ユーザーライセンスだけを見たので、正確な比較ではありません。それでも欧米製品に比べ、国産製品はかなり安価でした」(中山主査)。GLOVIAの提示価格は、欧米製品の半分程度だった。アドオン費用を加算すると、さらに差が広がると見た。ライセンス料金が高ければ、保守料金も当然高くなる。どう見ても海外製品の「割高感」は否めなかった。
「海外製品は導入時のサポート力が弱いのでは」という声も聞こえるが、その点は心配はしなかった。どの製品も、4、5年前に比べパートナーが力をつけてきた。導入実績も増え、ノウハウが蓄積されているから、懸念材料にはならないと考えた。
ただ、ベンダへの要望は国産の方が通りやすいと見ている。依頼内容が英語に翻訳されて担当者に届くまでには、かなりの時間を要する。その後、全世界から寄せられるリクエストに優先順位をつけ、開発にとりかかる。その際、ユーザー数が少ない日本企業のリクエストは、どうしても後回しにされがちだ。「ロイヤリティでは、既にアジア他国の方が上になっている」と言われるほどだ。
その点国内ベンダは、非常に意見が通りやすい。今回のプロジェクト期間内にも、いくつかのリクエストを出し、即時対応してもらった機能もあると言う。すぐに対応するのが無理な場合には、どのバージョンでいつ頃対応するのかを連絡してもらえる。将来の見通しが立てば、ユーザー側も安心して待つことができるし、開発計画や投資計画も立てられるわけだ。
ERPベンダは「ビッグバン導入が増えています。システム統合のメリットが理解されてきたのだと思います」と口を揃える。だが中山主査は「当社にとっては、まったく意味がありません」と言い切る。今回のGLOVIAの適用範囲も、会計部分だけだ。
これには2つの理由がある。まずは個別の業務アプリケーション機能の問題だ。
協和発酵は、食品、化学、医薬、バイオなど複数の事業を展開している。各事業部門や関連会社は、性質の異なる市場や顧客を相手にしている。商品の販売プロセスやライフサイクルもまちまちだ。それらを支える業務系システムは、個々の事業のベクトルに沿ったものにすべきだと考えたのだ。
「ライバル会社の大半は専業メーカーです。当然、その事業に特化したシステムを構築しています。汎用的なシステムでは戦えません」(中山主査)。
システムのライフサイクルの面からも、ビッグバンは「無駄が多い」と考えられた。各業務システムは、それぞれ構築時期も、寿命も異なる。ビッグバン導入では、何の問題もなく稼働しているシステムも捨てることになる。
もう1つの理由は、ビッグバン導入をすると人的リソースやコスト面での負担が大き過ぎるからだ。少なくとも協和発酵では、全システムを入れ換え、また数年後に全部を置き換えるという投資サイクルは、あり得なかった。
ただし、全業務システムを統合するというERPのコンセプトを否定しているわけではない。むしろグループ経営の観点からは、「システム統合による求心力の発生」が非常に重要だという。
個別最適による現場の業務効率改善と、経営者のための情報統合。この2つをできるだけ安価かつ迅速に両立できるシステムデザインを追求した結果が、今回のシステムに結実したわけだ。すべてのデータを統合しようとは考えず、会計情報に的を絞る。その代わりデータ分析の自由度とパフォーマンスを確保したわけだ。
協和発酵では今後、GLOVIAのデータを活用するための、戦略系システム構築を計画している。
最近では国内のERPベンダも、SCMやCRM、SEMといったフロント系の機能を追加している。だが中山主査は「フロント部分にまでパッケージを適用するつもりはありません」と言う。
オーダーを受ければ在庫が減り、出荷実績にプラスされる。こうした基本的な業務の流れは、カッチリと作る必要がある。それを手作りで構築すると、膨大な検証が必要になるため、パッケージを利用した方が手っ取り早い。だが「枝葉」となる部分は、スクラッチ開発した方が良いとの意見だ。
フロント部分には、永遠不変のロジックは確立されていない。むしろ各企業のオリジナリティや工夫を凝らすべきとの考えだ。
近年、経営手法として「BSC」が注目され、いくつかのベンダがそのための機能をパッケージに追加している。実は協和発酵でも、BSCの仕組みを自社開発。GLOVIAと組み合わせ活用している。
このシステムの開発は、手間ではなかった。DBを用意して必要な管理項目を設定し、BSCの表記法に則って表示するだけで済んだ。唯一難しかったのは、戦略マップのカード同士を結びつけ、グラフィカルに表示する部分だったが、MS-Wordでマップを描画し、HTMLに変換。各カードの裏にハイパーリンクのタグを手で貼ることで、便宜的に対応した。1人の担当者が1カ月ですべて完成させた。パッケージ標準のBSCシステムを導入すれば千万円単位のコストがかかる。だが今回の開発には、100万円もかかっていないとのことだ。
今後は、SCMやCRMといった分野での経営にインパクトを与えるシステム開発を視野に入れている。
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