まずは経理の「見える化」を実現することにした富士とかる子。しかし自分達だけでは何をして良いのかがさっぱり分からない。
そこで2人がまず、自社の会計システムの状況について教えてもらおうと恐る恐る出かけたのが、かる子が新人研修でお世話になった経理部のエキスパート直子のもとだった。
| ちょっと富士部長またですか? 領収書を締め日ギリギリに持ってこられると困るって、 何度言ったら分かるんですか! |
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| そんなに怒らんでくれ! 総務だっていろいろと付き合いが……じゃなくて、今日は 我が社の会計システムのことを教えてもらいに来たんだよ。 |
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| 会計システム? フッ……(遠い眼をしながら)そんな便利なもの、我が社にはありません。いつ導入したか覚えている人もほとんどいない、決算書印刷機しかありません。 |
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| えー、直子先輩、ほんとですかー!! うちの会社、会計システムもないんですか? |
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| あのね、かる子ちゃんよく聞きなさい! うちの経理って、未だに私が手でシステムに入力しているの。イマドキあり得ないわよ。いろんなシステムから伝票が上がってくるからフォーマットもバラバラ! システム自体も化石級の古いオフコンで新しいプリンターなんて対応していないから、古いプリンターをだましだまし使っている状態。 |
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| そ、そんなに遅れているのか? うちの会社は……。 それは、まいっちんぐじゃないかー。ああ、まいっちんぐだ! |
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| まいっちんぐ、って部長……。 あまりの寒さにメガネが凍ってきました……。 うちのシステムぐらい遅れていますね、そのフレーズ。いや、そんなことよりも今はシステムの話ですねっ、直子先輩! |
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| そうそう、うちのシステムは遅れてるなんてもんじゃないわよ。システムがバラバラってことは、あるシステムで出力したデータを、誰かが手作業で別のシステムに入力しなきゃいけないってことよ。 一カ所入力ミスしたら、また印刷し直したり、どこでミスしたのかを見つけるために何時間もかけて探したり……。本当に手間がかかるの。 それにうちの会社って、週の頭に経営会議をするでしょ? おかげで私の週末は残業で潰れちゃうの! ほかの課のみんなは習い事だ、デートだって楽しそうなのに、私ばっかり残業で……。 お誘いがなくなってきたのもすべてこの残業のせいなんだわっ! |
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| だめですよ、女性が週末にお誘いを受けられないなんて! でも、本当にうちのシステムは遅れているんですね。 そんな状態では見えるものも見えなくなっちゃいそうです。 メガネも汚れて曇っていたら前が見えません! |
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| そうね、このままだとうちの業績も悪くなる一方よ。 だって伝票は月末に集中するから最低限の伝票入力しかできないし、時間がかかるから決算書を仕上げるので手一杯。 それに社長が思いついたときに「経費明細出して」なんて言ってくるから、そのたびに伝票をひっくり返して資料を作ったりで、経営状態やお金の流れを分析する余裕なんてないの! だいたい会議で使っている資料だって、準備に時間がかかるせいでリアルタイムの情報じゃないのよ?そんな資料を見ながら話し合ったって、損益状況なんて把握できないっていうんですよ! あたしが社長にどれだけシステムの刷新を訴えてきたか……。 それでも社長はね、 「経理は出る金を抑える部だろう?それが大金使ってどうする!」 って、却下、却下の繰り返し。 ほかの会社ではとっくに導入してるっていうのに……。 |
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| いやいや、直子クン。実は今回は社長直々の指示で「見える化」を進めることになったんだよ。 我々が情報システム部となったんだが、まずは会計システムから手をつけたいんだな。 それには我が社の現状として具体的に今は何が見えてないのか、俺にも分かるところで教えてほしいんだ。 |
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| ほんとですかー!社長がやっと重い腰を上げてくれたんですね!! ええ、もう、それならなんでも教えますよ。 まずはそうですね、「共通費」の問題かしら。 |
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「共通費」とは、基本的に部門や部署にかかわらず使われる費用のこと。我が社では複数プロジェクトにまたがっていたり、ビルの賃貸料、曖昧な接待費など、うまく処理できないものはぜーんぶ共通費ってことにされてしまっています。
例えば富士部長が取引先の人(ほんとにいるんですか?)を連れて行ったお店の代金も、どのプロジェクトにも振り分けられないから、我が社では共通費の中に入ってしまっています。
その共通費は各部署に振り分けるという、ざっくりとした処理をしているので、どんぶり勘定になってしまいます。つまり、売上に対して経費がどれくらいかかっているのか、その経費は正当なものなのか、ってことがまったく把握できていない状況なのです!!
本来なら経費の内訳が分かるようにするべきなのよ。
そうすれば売上に対して、ムダな経費がないか、本来の利益は?……なんてことも一目で分かるのです。
なんでもかんでも共通費がまかり通るっていうのは今の時代まったく流行らない、というわけです。
共通費の問題、みなさんの会社では大丈夫ですか?

| 分かりました? 富士部長にかる子ちゃん……。 |
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| 見えてきました、見えてきました! かる子のメガネの曇りも取れてきましたよ。 先輩それで、具体的にどうしたら「見える」会計ができるようになるんですか? |
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| 「見える化」を目指すには会計システムの考え方を刷新しないとダメね。 1つのシステムで一貫した管理ができないことには手作業が減らないし、リアルタイムで経営状況を把握するのも難しいわけ。 仕訳で入ってきた情報も、誰がどこで使ったとか売ったとか、付加情報を入れておくことで財務会計にも使えるし、経営判断をするために切り出して使うこともできるマルチな会計データにすることができるのね。 |
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| ああー? 今の販売管理ホストにだって膨大な売上データは入っていると思うがね。 そもそも財務会計と管理会計の違いって何だね? |
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| それに、営業部ではBIツールっていうのを使って、分析とかしてるって、同期の友達に聞いたことありますよ? | ||
| そう、ちょっと分かりづらいわね。 じゃあこれも説明しましょうか。 |
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これまで売上データや、受注量や生産実績の分析がもてはやされてきましたが、管理会計もかなり重要なのよ。
財務会計は、どの株式会社もやらなければならない最低限のことだけど、
管理会計は経営者が経営目的を達成するために必要な資料を出したりして、会社組織の効率性を高めることを目的にしているもの。
販売系のシステムばかりチェックして売上が良くても、出て行く経費が大きかったら会社全体の利益は少なくなってしまうでしょ?
そうならないために、損益にこだわって詳細まで見て把握することが大切なの。お金の動きがちゃんと見えれば、無駄遣いを減らす方法も見えてくるというわけ。
それに、管理会計にこだわろうとすると、さっき話した「“なんでも共通費”で配賦する」のは良くないことって気づいたかしら?
配賦とは、部門やプロジェクトにまたがって発生する共通費を、任意の基準に従って費用配分を処理すること。
最近の流行りとしては、共通費はなるべく発生時の付加情報ですみ分けして直接費にする傾向にあります。
そうすれば、共通費でなく何に使ったかが「見える」ように変えるというわけ。
管理会計の説得力もぐっと上がるわね。お金の情報を入力してもらうときに、何のためとか、何をして儲けたとかの情報を入れておくことが重要なの。

| おうちに例えてみると、ほら、ずぼらママの家計簿だと、食費やなんだかんだがざっくりとしているから、ちょっと節約しようと思うと、パパのお小遣いとかを下げてしまうしかないでしょ……。 でも、しっかりママのように食費は食費でも、細かくつけていれば、牛肉を豚肉に変えるとか小さな節約を積み重ねる施策が出てきて、むやみにパパのお小遣いを下げなくても済んだりします。 見える化というのは、こうやって情報を細分化するってことなのね! |
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| なるほど、管理会計がうまくいけば、数字に裏付けられた経営判断ができるというわけか。 | ||
| そうですよ、この仕組みがあれば、部長の使った交際費も「いつ・どこで・誰が・どれくらい」使ったか、一発で分かるんですから。 | ||
| それはすごいな……俺の接待がいかに会社に貢献しているか分かるというものさ! | ||
| あれ? そういえば昨日処理した伝票、あやしげなお店っぽい名前でしたよね? 接待とは名ばかりで、本当は部長が一番楽しんでいるんじゃないですか? |
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| 何を言っているのかね、かる子クン! あれもお客様を第一に考えたお店のセレクトに決まってるじゃないか。 接待の鏡だよ! ま、とにかくだね。明日から詳細明細を入力しておいてくれたまえ、直子クン。 |
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| 部長……私の話を聞いてました? 今のシステムでそんな大量データを入れられるわけないでしょ! 勘定科目と金額を入れるので精一杯なんですってば! |
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| 分かりました! 直子さん、うちにぴったりの会計システムを探してくれば良いんですね? かる子がんばります~。 |
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| おいおい、どこに行くんだい? かる子クン。 直子クン、とりあえずありがとう。良い話を聞いたよ。 情報システム部で検討を進めていくよ。 あと、これもよろしく! |
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| また領収書じゃないですか!!私の話ほんとに聞いてないー!! もう、こんな作業から開放させて~。 ねえ、ちょっと、ちょっとかる子ちゃん。 探すなら自動仕訳ができるシステムじゃなきゃイヤよ~! |
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| まかせてくださ~い~~。 | ||
果たして株式会社黒美では「見える化」を実現できるのか?
そして会計システムの導入後、富士 通男の「あやしげな接待」は続けられるのか?
第2話へつづく
[第2話] コールセンターの品質向上!CRMでクレーム炎上を鎮火せよ!の巻
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イマドキ“なんでも共通費”は流行らない
なんでもかんでも共通費にして各部署に振分けるのは、どんぶり勘定!
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売上情報だけを追っかけるのはNG!
出て行く経費を細かく把握すれば、管理会計の施策も打ちやすくなる!
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見える化は情報の細分化!
お金の動きがちゃんと見えれば、無駄遣いを減らす方法も見えてくるのね
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部長と新のために、参考になるページをジャララッと検索しました。
このお話にちょっとでも“もえた”方に、よく効くページです。
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