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富士通株式会社
経理部 主席部長
兼 ソフトサービス事業推進本部
ビジネスソリューションセンター主席部長
エグゼクティブコンサルタント
俵 一雄
経営管理の質を向上させる上で、いかに数値を活用するかは重要なテーマである。その数値をベースにPDCA(Plan - Do - Check - Action)のサイクルを素早く回転させる。その中で、経理システムの担う役割は極めて重い。では、今求められる経理システムとは?そして、経理のミッションはどう変化しつつあるのか?それらの課題を「GLOVIA/SUMMIT」はどう解決するのかも含めて、富士通経理部兼ソリューション事業本部ビジネスソリューションセンター主席部長でエグゼクティブコンサルタントの俵一雄に聞いた。
この3〜4年の企業会計の大きなテーマは、国際会計基準への対応でした。その中で連結決算をどのように実現するかという大きな課題がありました。現在、上場企業はほぼこれらのテーマへの対応を終えようとしています。ただし、それは制度的な対応を終えたということであって、会計情報を経営管理に生かすという視点で見ると、まだまだ日本の企業には未成熟な部分が少なくありません。
日本の企業のうちSEC(米証券取引委員会)基準に基づいて情報開示している30社強を除けば、数値に基づく合理的な経営を明確に実現している企業はまだ少数派でしょう。売上高やマーケットシェアなどの数字だけを追いかけて、「傾向及び流れと勢い」で経営を見てきた企業が少なくないと思います。
それでもこれまで企業が存続し得たのは、ある枠組のなかでの系列取引や商権的慣行の中で、安定的な売上高が確保されていたからです。しかも、経済全体は右肩上がりでした。こうした前提条件としてのフレームワークは、今や完全に崩壊しつつあります。主に外圧により規制緩和が強要され非経済障壁が崩落した結果、業界や国境といった垣根は、根本から崩れてきています。異業種や海外からの参入が増え、かつては安定的な売上高を約束してくれた系列間取引に頼ることもできなくなりました。
2001年1月〜11月に倒産した製造業を調査した、帝国データバンクの興味深いデータ(注)があります。倒産企業のうち、創業30年以上の「老舗企業」の割合は33.1%を占めていました。次いで「20年から30年未満」が22.5%。つまり、倒産した企業の半数以上が、創業20以上の歴史を持つ老舗だったのです。
老舗企業ほど、環境変化への対応が遅れがちになり、従来のビジネスの枠組みが大きく変わっているにもかかわらず、慣れ親しんだ「傾向と勢い」の経営から決別できないことが倒産に至る基本的な理由なのです。
(注)『日本経済新聞』2002年1月15日 朝刊3面
現実の自己の姿を認識し、それをもとに対策を立案、実行する。つまり、PDCAのサイクルを素早く確実に実施していくことです。予算を立て毎月予測を繰り返すことにより、現実のオペレーションを修正していくサイクルが必要です。
このためには、会計的な観点での自己認識の時点が問題となります。月次決算が確定するのが、翌月中頃という企業が沢山ありますが、この場合、当月1日の情報は、45日後の翌月中頃にならないと認識できない。これでは、もし何らかの問題が発見できたとしても、時すでに遅しで、手遅れのため対策の打ちようがありません。
日次決算に懐疑的な(そこまでやる必要が本当にあるのかという)企業が多いのですが、素早く自己認識し、その結果を直ちに情報開示することが上場企業には求められています。
2001年3月期決算で連結決算を発表した上場企業は1554社ありました。その中で連結対象会社数の多い上位50社を取り上げて、ディスクローズの時期を調べてみました。4月中に決算発表した企業が8社、5月24日以降は13社ありました。
早い方の8社、遅い方の13社の財務諸表の値の平均を比べると、2つのグループには明らかな差異が認められました。対連結売上高連結有利子負債比率が前者は24%、後者は91%、連結総資産回転率も、前者の0.95回(約1回)に対して後者は0.6回でした。
ここから分かるのは、自己認識の時点が早い(その結果、決算発表も早い)企業は、資産を効率的に運用しており、比較的健全な財務状態を維持していることです。
逆に自己認識の時点が遅い企業は、自らの現状を把握するのに時間がかかるため、財務体質の改善についても対策が遅れ、あるいは潜在債務・偶発債務の把握が不十分である可能性が高いと言う意味で、リスクマネジメントの観点から、大きな問題を抱えていると言えるのです。つまり、「マネジメントの質が低い」という判断が市場から下されることになります。