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このページの情報は、2003年に掲載されたものです。
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2000年4月3日号

特別企画 ERP導入ケーススタディ・シリーズ
日本濾水機工業のERP導入、EDI(電子商取引)時代に向けたビジネス手法と業務ルールの確立

水処理の日本濾水機が
ERPパッケージを核としたWAN、LANの構築によって目指したのは、「うち独自」という仕事のやり方を変え、将来のEDIに対応できる体質改善だった。

日本濾水機工業株式会社

本社: 横浜市南区井土ヶ谷中町91
代表者: 代表取締役社長 橋本祐二 氏
創立: 大正7(1918)年6月
資本金: 6000万円
従業員数: 80名
事業内容: 各種濾過機、水処理装置・プラントの製造・販売

将来のEDIを視野に入れ、インターネット対応型のERP「GLOVIA-C」を導入

橋本 祐二 氏の写真
橋本祐二
日本濾水機工業株式会社
代表取締役社長。

日本濾水機工業株式会社は、各種濾過機や水処理設備・プラントなどの製造、販売を行っている企業である。注射液や飲料などのベースとなる非常に純度の高い水をつくる水処理分野で独自技術の製品を持ち、多くの製薬、化学、食品メーカー、病院などが顧客として名を連ねている。
その日本濾水機が昨年、販売、会計、給与のシステムを刷新した。それまでのオフコンからクライアント・サーバ型に切り替え、社内LANを構築。販売、会計、給与のシステムに富士通のERPパッケージ「GLOVIA-C(グロービア・シー)」を導入。同時に、全国五カ所にある営業所、出張所と本社とを専用回線で結び、WANを構築したのである。
このシステム構築をリードしてきたのが橋本祐二代表取締役社長だった。

「システム更新の直接的な理由は、これまでのシステムのリース期間が終了すること、時期的に2000年問題への対応ということもありましたが、それらの直接的な理由より、もっと根幹には、将来の先取りという狙いがありました。というのは、今後、遅かれ早かれ、EDIに対応していかなければならなくなると思います。しかし、『今後はEDIにします』『インターネット取引にします』と言われて、すぐに外部とそのような関係を持つのは難しいでしょう。ですから、社内的にネットワークを利用したビジネスのやり方に慣れておかなければならないと考えたわけです」
その意味ではLAN、WANの構築は必須だったわけだが、当然、ソフトにもネットワークへの対応が求められた。
「他のソフトも検討しましたが、今回、一つのテーマとしてあったのは、営業所とのオンライン。検討した他のソフトはその点で対応ができず、インターネット対応型の『GLOVIA-C』が優れていました。将来は入札もインターネットを通じてという時代が来るでしょうから、それは重要なポイントでした」


業務処理ルール化のためにERPパッケージを活用

橋本社長は四代目社長だが、現在動いている生産、設計のシステムを含め、これまでのシステムも社長就任以前に手がけたものである。
「昭和48年から49年にシステムを構築したときは、社内の業務合理化のためにコンピュータという『ツール』を使おうと考え、業務の流れをそのままコンピュータに乗せられるようにプログラムを手づくりして、合理化を図りました。今回も『ツール』としてコンピュータを利用しようという意味では似たところがあります。私どもの会社は歴史が古いために、業務処理の面では経験や勘に頼っている部分がありました。しかし、これからの時代に対応していくためには業務処理のルール化がきちんとなされていなければ駄目です。ただ、いくら『ルールに基づいてやってください』と言っても、実現はなかなか難しい。どうしても『ツール』が必要になります」


業務処理のスタートとなる販売システムの受注入力画面。各営業所で入力され、本社に集約される。

もちろん、コンピュータだけでなく、ERPパッケージにも「ツール」としての期待が大いにあった。
「いつまでも仕事のやり方が『うち独自』では駄目なんです。それではこれからの時代に乗り遅れます。『うち独自』というのは、製品と技術に必要なことであって、仕事のやり方は、世の中の動きにうちが合わせていかなければなりません。そのためにはビジネス・スタンダードが盛り込まれたERPパッケージに自分たちをはめ込んだほうがいいだろう、と考えたわけです

その中でも「GLOVIA-C」を選択した理由はどこにあったのだろうか。
「自分たちをはめ込むとは言いながら、どうしてもこちらに合わせてもらわなければならない面もあります。ですから、パッケージではあってもあまりにガチガチでは困るわけで、ある程度の自由さがほしい。その点、『GLOVIA-C』はカスタマイズできる部分が残されていて、どうしても変更できない“うちだけの面”に合わせてシステムをつくり上げることができましたからね」


タイムリーなデータの把握と生のデータによる経営判断

「GLOVIA-C」導入を決定したのは昨年5月頃。稼働し始めたのは11月で、まだわずかの時間しか経っていないが、効果のほどは見られるのだろうか。
橋本社長はこう言う。
「これまでは、例えば、納品後に受注書を発行することも可能だったわけですが、ルール化によってステップを踏まないと次には行けないようになっています。手でやっているとある工程を飛ばすことができますが、そういうことができないために混乱が起きています。しかし、混乱が起きているというのは、ルールが正しく作用している、狙った効果が出てきているということだと思います」
ルールが正しく作用しているという点だけが効果というわけではない。
日本濾水機では従来、各営業所で起こした販売伝票をファクシミリなどで本社に送り、本社でコンピュータに入力していた。そのため各営業所では、コンピュータから出力される数字については電話で聞くかファクシミリを送ってもらって見るといった方法しかなかった。しかし、「GLOVIA-C」導入後は、各営業所で販売伝票を入力。そのデータがリアルタイムで本社に集約される。そのぶん、本社の作業が軽減されたのはもちろん、各営業所ではいつでもブラウザを通して、自分たちの数字だけでなく、他の営業所の数字も把握できるようになった。
また、見積書をメールで送信することで手直しなどのスピードがアップしたり、営業情報や技術資料の共有化実現、さらに将来は図面のCADデータの配信など、ネットワークやインターネットの利用による拡張性の効果も出てきている。
一方、橋本社長にとってもデータ把握、それに伴う判断はスピードアップした。
「販売データはリアルタイムで見ることができるようになりました。試算表も、以前は手づくりのシステムでしたから、月一度しか出てきませんでしたが、それもリアルタイムで更新されます。判断は当然、早くなりますね」
データがリアルタイムに見られるだけでなく、生のデータが見られることも、橋本社長にとって「GLOVIA-C」導入の大きなメリットになっている。
「今回、特に狙っていたことの一つは、私が生のデータをすぐに見られるようにしようという点です。例えば、それぞれのレベルではそれほど重要でないと思うデータでも、私にとっては重要な場合があります。一方、これは重要だと思って上げてくれたデータが私には重要でない場合もあります。ですから、重要であるかどうかは私が判断するから、加工せず生のデータのままで置いておいてほしいと言っているわけです」
期待した狙いと投資額とのバランスを橋本社長はどう捉えているのだろうか。
「コンピュータの効果というと、それを入れたから人が何人減ったとか、費用対効果がどうのとか言われますが、『ツール』と考えれば安い投資だったと思います。これによって、仕事のやり方が変わってくるでしょうし、まだまだ不十分ですが、EDIの時代にも対応できるようになるでしょうから」
ここには、企業の体質改善のための投資という視点がある。

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