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会計ビッグバンによる連結決算への対応、グループ企業間のネットワーク化への対応……。
ばね専業メーカー特殊発條興業のERP導入には、さまざまな展開を考えた「戦略投資」の意味があった。
特殊発條興業株式会社 |
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| 本社: | 兵庫県尼崎市長洲西通1−10−14 | |
| 代表者: | 代表取締役社長 高石敏男 氏 | |
| 設立: | 昭和13(1938)年6月 | |
| 資本金: | 7500万円 | |
| 従業員数: | 220名 | |
| 売上高: | 約56億円(平成11年3月決算) | |
| 事業内容: | ばね製品製造業 | |
部品の中でも「ばね」は、ほとんどの製品のどこかに必ずと言っていいほど使われているものだが、さまざまなばねを、自動車関係に8割、その他、電気製品、農機、建設関係に供給しているばね専業メーカー、特殊発條興業株式会社。大同特殊鋼の100%子会社である。
![]() 特殊発條興業株式会社 酒徳正司常務取締役。 |
特殊発條興業では98年秋、新社長の下で中期計画プロジェクトがスタート。昨年3月には中期構想が策定され、4月から実施に移されている。中期構想にはさまざまな内容が含まれているが、その一つに、新しい時代に対応するための、あるいは新たな事業展開のための「戦略投資」という意識を持って、設備やシステムの再構築を図っていくことがあった。その最初の取組みが尼崎工場の生産管理システムと財務会計システムの再構築だった。生産管理システムは今年10月、財務会計システムは4月から立ち上がる予定で、その準備が進行しているところだが、システム再構築の背景を、情報システム部を統括する酒徳正司常務取締役は次のように説明する。
「わが社のシステムは、20年くらい前から少しずつ積み上げながらシステム化してきたため、現在では『つぎはぎ』の状態で、種々の問題点を内在しています。会計システムもそこに含まれているわけですが、最初に管理会計システムがつくられ、そこから財務会計データをアウトプットしているという状況で、整合性がよくないことが大きな問題でした。財務会計と管理会計が連携した会計情報を迅速に提供できるシステムの構築が、スピード経営の求められている今日的な課題と考えます」
同社の情報システム部は9名からなるが、いわゆる専任者は4名。その4名で二千数百本に上るプログラムを管理している。酒徳常務はこう続ける。
「大規模のシステム開発は、専任者だけでも数名、そのほかにもプログラマーが必要ですが、わが社の規模ではそういう形態はとれません。したがって、アウトソーシングかパッケージかということになりますが、中期構想の一環として、戦略投資を行うにも『中堅企業にふさわしい分相応の投資』という考え方から、パッケージの導入を決定したわけです」
特殊発條興業が最終的に導入したのは、富士通のインターネット型ERPソリューション「GLOVIA-C(グロービア・シー)」である。ERPパッケージが選ばれた理由には、後にも触れるが、新しい時代への対応、新しいビジネス展開を踏まえて、ビジネス・スタンダードが盛り込まれたERPパッケージの導入によって仕事のやり方そのものから変えていくという、まさに「戦略投資」としての意図があることは言うまでもない。
「GLOVIA-C」選択の理由を酒徳常務はこう述べている。
「理由の一つは、新会計基準への対応。キャッシュフロー計算書、連結決算などに対応できること。また、前にも述べた、中堅企業にふさわしい分相応の投資であること、そして、開発期間が短いことなどが挙げられます。もちろん、財務会計と管理会計のシームレスな連携が図れることも理由の一つです」
冒頭に述べたように、特殊発條興業は大同特殊鋼の100%子会社で、当然、連結決算の対象となる。その意味では、グループ内における整合性をどうとるかという問題もある。
「親会社に連結情報を提出する必要があります。これまでは、手作業で抽出・計算していたのですが、そういった情報も『GLOVIA-C』から簡単に取り出せるようになります」(酒徳常務)
グループ企業の場合、親会社との関係だけでなく、関連会社同士の取引きもあり、ここでの整合性も重要になる。さらに、前述したように、特殊発條興業のばねの八割は自動車メーカー向け。今や多くのメーカーにおける部品調達は、インターネット調達の方向へと移行しつつある。「GLOVIA-C」がインターネット対応型である点を評価するユーザーは多いが、特殊発條興業も例外ではなく、その導入には将来のビジネス・スタイルを先取りするという意味もある。同社情報システム部の渡部達彦次長はこう述べている。
「今後、受注がインターネットを通じたものになることは必須です。その時代に対応していくためには、情報システム部も、これまでのようにアプリケーションの保守・管理に忙殺されるのではなく、外部環境に合わせていかにシステムをつくり出していくか、どうインフラ整備を進めるのかといった方向にシフトしていきたいと思っています。そのような対応ができるようになるために、情報システム部が身軽になること、さらに、自社内だけのシステムではなく、外部と連携可能な環境にする必要があるということも、『GLOVIA-C』を導入した背景にはありました」
自社内の連携でもインターネット対応という特徴は生きている。
特殊発條興業は、尼崎に本社および工場を持ち、さらに伊丹に工場、東京と名古屋には営業所、広島、佐賀に出張所を配している。このうち、尼崎、伊丹、東京は専用回線で結ばれているが、広島、佐賀は専用回線では結ばれていない。渡部氏はこう言う。
「佐賀出張所と名古屋営業所は少人数のため、コスト的に専用回線を引くわけにもいきません。ですから、佐賀と名古屋ではインターネットを利用したかったわけですが、インターネットにも専用回線にも対応可能だったのは『GLOVIA-C』だけでしたから、それも選択の理由の一つでした」
インターネットによってすべての拠点が結ばれたことで、これまで各拠点から帳票で送られ、本社で一括手入力するという方法がとられていた財務会計データは、発生個所単位で入力、それをデータ転送することが可能になって、スピードアップが図られるようになることは言うまでもない。
![]() 「GLOVIA-C」の経営分析ツール「経営分析システム」。いくつかのメニューの中から必要な項目を選択することによって、例えば上のチャートのように、キャッシュフローを一目で把握することができる。 |
キャッシュフロー経営やスピード経営が言われる現在、経営陣にとりわけ財務会計情報を迅速に提供することは必須になってきている。特殊発條興業の場合も「GLOVIA-C」導入の狙いの一つはそこにあった。渡部氏はこう言う。
「今回の『GLOVIA-C』導入では、経営分析のソフトも一緒に入れました。情報システム部がこのような資料はどうですか、と各部門に提出するのではなく、この分析ツールを使えば、利用する人が項目名を選択するだけで表が出てきたり、グラフ化されたり、自分の視点で欲しい情報を簡単にデータベースから抜き出すことができます。利用者自身で情報に付加価値をつけることが大事だと考えますし、その手段として活用してほしいと思います」
この分析ツールは「経営分析システム」と呼ばれるもので、経営判断に役立つ数十種類の経営指標が、月次、週次、日次で引き出せるようになっているもの。中堅企業向けのERPでは「GLOVIA-C」が初めて導入した機能である。これを採用した点にも、特殊発條興業がシステム再構築に当たって、新しい時代への対応、新たなビジネス展開、さらにその時代に経営者にとって何が必要なのかという、「戦略投資」の意図がうかがえるのではないだろうか。
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