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サービス残業は生産性に背を向ける

人事コンサルタント/社会保険労務士  金子 賢一
[2007年6月12日掲載]

不況期のリストラによる人手不足や成果主義の進展により労働時間が長時間化し、過重労働による健康障害やサービス残業(賃金不払残業)が社会問題になっています。厚生労働省は平成15年4月に賃金不払残業総合対策を打ち出し、監督・指導の強化を図っています。以来、当局の臨検による是正勧告に基づき大手企業が数十億を超えるサービス残業代の支払いを余儀なくされる事態が頻発しています。
労働時間の適正管理は、労働時間の適正な把握がその前提になります。これについては、厚生労働省が平成13年4月に公表した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」に詳細に示されています。使用者はまず、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録しなければなりません。確認・記録の原則的な方法は使用者が自ら現認するか、タイムカード、ICカード等客観的な記録を基礎にすることとされています。最近多く見られる自己申告制については、曖昧な時間管理になりがちであるとの観点から、同基準ではやむを得ない場合に限る例外的方法であると位置づけています。そのうえで導入時の労働者に対する十分な説明、申告時間と実際の時間が合致しているか否かの調査や調査結果を受けての改善措置の実施等導入・運用に関するガイドラインを定めています。


労働時間等の適用除外となる管理監督者については、その範囲が適正であるか、また事業場外のみなし労働時間制による労働者については、みなし時間の設定が適切であるか確認する必要があります。管理監督者やみなし労働時間制による労働者については、上記基準による正確な労働時間の把握は不要ですが、過重労働による健康障害を防止する観点から適正な労働時間管理が必要なることは言うまでもありません。
雇用形態が多様化するなか、それぞれの働き方に応じた労働時間制度を導入することが大切です。各種変形労働時間制やフレックスタイム制、専門・企画型裁量労働制などを導入することで合理的に賃金コストを抑制しつつ、効率的に働いてもらうことが可能になります。
適正な労働時間管理において認識すべきことは、前述のように使用者には労働時間を適正に把握する義務があるということです。そしてコンプライアンス(法令遵守)の姿勢を貫くことが重要です。サービス残業は、言うまでもなく違法行為です。是正勧告による摘発は、金銭的なリスクとともに企業の信頼性の失墜や労働者のモラール低下という非金銭的なリスクを伴います。経営者トップは経営上の重大リスクとしてしっかり認識すべきです。


また、企業は適正な労働時間管理を行うとともに、もう一歩踏み込んで時短を進め、生産性の向上に取り組まければなりません。特にホワイトカラー職種の生産性向上は大きな課題です。生産性を向上させることは、企業競争力の強化や労働者の能力向上にもつながり、労使双方に利益をもたらします。長時間労働やサービス残業を放置することは、生産性に背を向けることに他ならないのです。


著者プロフィール

金子 賢一 (カネコ ケンイチ)
人事コンサルタント/社会保険労務士

昭和41年6月 埼玉県出身
駒沢大学文学部社会学科卒業
平成7年 社会保険労務士試験合格
平成8年 社会保険労務士登録、「金子経営労務管理事務所」を設立、現在に至る

人事労務、公的助成金、年金等に関することが専門。
人事制度の最新情報や賃金制度、就業規則その他各種人事労務に関するセミナーを数多く担当。

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