経営数値の発信は経理から
公認会計士 藤田 博司
[2008年4月2日掲載]
経理部門の機能

経理部門若しくは経理機能自体が企業にとって必要欠くべからざるものであることは、一般的な見解であると思いますが、ではなぜ必要かという質問をしてみると、明確な回答があまり帰ってこないことも多いのではないでしょうか。
経理部門の果たすべき機能として最も一般的なものは、決算書の作成であろうかと思います。すなわち、全ての企業は決算期ごとに決算書を作成し、株主総会等での承認を受け、様々な税金を納付する義務が法律等で決められているため、決算書を作成するために経理処理を行う経理部門が設置されているのです。
企業の決算書は経営者、出資者、税務当局その他様々な利害関係者にとって重要な書類であり、しかもそれを一定の期日までに作成しなければなりません。このため、決算書作成の主担当となる経理部門は正確かつ迅速な会計処理を行う必要があり、決算期後は非常に忙しくなるのが一般的です。
経理業務は2つある

以上のように決算書の作成が重要であることは言うまでもありませんが、経理部門にはその他にも果たすべき様々な機能や役割があります。
例えば日常の業務活動を会計データ等によって管理・改善指導をしたり、年度予算策定のための資料を提供したり、経営状況などを計数化して分析資料を経営者、管理者等に提出したりと非常に多くの機能や役割が列挙できます。
そこで、経理部門の業務のうち、決算書の作成に代表されるような外部への提出書類作成に関する会計業務を「財務会計」と呼び、一方経営者等に対して、経営分析資料を作成、提出する会計業務を「管理会計」と呼んで2つに大別する考え方があります。
経営者は経理部門が、まず「財務会計」に関して支障なく活動がおこなっていける体制を構築し、その体制が運用面においても問題なく動いていることを確認した後、「管理会計」の機能を充実させていくのが一般的なアプローチであると思われます。
すなわち、法律・制度への対応が問題なく行われることが前提であり、その後に経営者・管理者にとって有用な会計データ・分析資料を提供することが行われると、経理部門は企業にとってとても重要な部門であることが再認識されると思います。
経営者・管理者は様々な観点から経営状況等を分析・把握する必要があり、そのための資料が正確かつ迅速に提供されれば、的確かつスピーディーに意思決定を行い、成功に導く可能性がそれだけ高まることになります。
経営数値は「ウルサイ経理」から

経営者・管理者の方は一度自社の経理部門の管理レベルを、チェックしてみてはいかがでしょうか。もし、単に財務会計を行うだけの部門としてしか経理部門を活用していないのであれば、それは非常にもったいないことです。経理部門員の多くは経理処理のプロフェッショナルであるとともに、経理関連データを使った経営分析に関する専門家の原石でもあるのです。また、多くの会計システムは単なる経理処理ツールとしてだけでなく、経営分析用の資料提供機能も備えており、それらを利用するだけでも今までとは一段違ったレベルの管理が行いうるはずです。
一方でこのような管理レベルを実現するには、経理処理の合理化、迅速化を通じてタイムリーな会計情報が入出力できることが必須となってきます。何ヶ月も前の経理データを下にした分析資料が将来の分析に適していないということは改めていうまでもありません。
なるべく新鮮なデータを用いた分析を行うためには、経理部員が各部署に対して必要なデータを収集する必要があり、そのための督促をする「ウルサイ」経理部門は見返りに有用なデータを提供してくれるので、各部署にとっても受容すべき「ウルサイ」部門といえるかもしれません。
著者プロフィール
藤田 博司 (フジタ ヒロシ)
公認会計士1993年3月 中央大学法学部法律学科卒業
1999年10月 朝日監査法人(現 あずさ監査法人)横浜事務所入所
2005年6月 あずさ監査法人横浜事務所退所、藤田公認会計士事務所 開設中堅企業の株式公開支援、内部監査などを担当。内部統制等のセミナー講師を数多く担当している。


