「失敗しないERP」シリーズ第2弾
中堅規模の食品製造業における失敗しないERP構築について
第2回「業務プロセス面で何を行っていくか」
本コラムではERPシステムとは、基幹業務システムのことを指します。
[2007年10月4日掲載]

第2回では、第1回での「儲かるための企業モデル」のもと、現場レベルでどのような業務プロセスとしていけばいいかを、年間予算や月間計画立案の業務、顧客管理や販売の業務、製品を生産する業務、原材料を調達する業務、製品を納品先まで届ける物流業務、原材料や製品の在庫管理業務、会計・原価管理業務の順でそれぞれ述べていきます。
これら業務の全体を通した情報のつながりを作ることで、余分な買いすぎや作りすぎ、2重3重の部門間調整やデータ入力をなくしていきます。
年間予算や月間計画立案の業務について
年度計画においては、営業部門において昨年の貢献利益実績から得意先や商品の優先度を決め、得意先別商品別販売計画を立案します。これが全社の年間予算のベースとなります。
それをもとに、調達部門では、年間の仕入計画(時期、量、価格)を立案し、仕入先業者選定や価格交渉を、製造部門では、月別の工場生産能力を把握し、設備稼働時間や人の投入量調整を行います。
さらに、各部門において年間計画から月次計画に展開し、当月実績で翌月計画の見直しを行います。
これらを実施することで年度計画や、月度計画の精度が高まり、予算達成の確率を上げることができます。
顧客管理や販売の業務について
食品製造業では、請求先である得意先と、商品を納める納入先が異なる場合が多く、販促費は得意先のさらに先にある納入先単位で取り決めされていることが多いのが現状です。従って、得意先・納入先の与信や債権管理、販促費管理項目の整備と、一元管理化が必要となります。
営業部門では、売れ筋や製品在庫情報と、月間の課別得意先別の貢献利益(計画、実績)を把握しながら週間販売計画の立案と製造部門や購買部門との調整を行います。これらを実施することで、販売業務における管理工数の削減や、製品在庫の削減、貢献利益の拡大を図ることができます。
製品を生産する業務について
営業部門が立案した販売計画をもとに、自工場の進度状況や能力状況をみながら生産計画を立案します。製造指示と実績時には、作業指示単位に投入原材料ロットと製造ロット計上を行なうとともに、HACCP関連の品質記録をとっておきます。併せて原材料は、開封後のロット分割管理も行います。
作業工数面では、作業指示書に段取時間や選別や加工時間などの時間を、標準工数として事前に印刷しておき、作業後に変更分を記入させるようにします。また会議やトイレ・休憩などの時間は日報として報告してもらいます。記入された作業指示書や日報を業務終了時に職場長がまとめて入力することとします。
これらを実施することで、売れる分だけの生産と、品質管理の強化、製造ロット別や活動別の原価管理のための実績収集を実現することができます。
原材料を調達する業務について
原材料費用は、製造原価の60%以上を占めており、原価削減のためには重要な項目であります。価格面では、原材料費用のうち原材料そのものの費用と運搬費などの付随費用が分かるように契約を調整し、原材料受入時にそれぞれの費用を計上できるようにします。数量面では、契約残管理や作業指示書ごとの原料使用実績を収集することで、原材料不足や原料廃棄量を少なくするようにします。
製品を納品先まで届ける物流業務について
得意先からの注文は、Faxで一日数百枚の単位でくることが多く、Faxからの直接データ取り込みを行うことで、受注受付業務が大幅に効率化できます。併せて受注在庫引当から出荷指示まで一連の連動したしくみを考えることも、出荷作業の効率化とスピードアップのために必要となります。
製品配送や製品倉庫を管理する業務は、物流業者に委託することが多く、物流費のコントロールのためには工場や製品在庫拠点、納品先までの出荷指示明細をこちら側で作成し、物流業者に渡すことも大切です。
原材料や製品の在庫管理業務について
いままで述べてきました生産や調達、製品物流における実績収集情報から、在庫の受払情報を作成しそれを一元的に集約することで、全社横串の原料、仕掛、製品在庫の情報をタイムリーに把握できるしくみを作ります。
実績値と併せて販売計画や生産計画を基とした予定値を算定し、それとの比較を行うことで計画値や在庫数値の調整を行うことも大切です。製品在庫においては在庫の基準値となる発注点を設定し出荷や受注引当で在庫数値を減算していき、発注点を割ったときに補充するしくみも在庫削減に効果を発揮します。
売掛・買掛管理を含んだ会計業務や原価管理業務について
販売や生産、調達、製品物流業務で発生した実績情報をもとに会計伝票を作成します。売上戻しや割引明細も売上の明細として会計処理を行い、販促費として計上します。
発生した会計伝票で、売上元帳、仕入元帳、経費を含む現預金出納帳を日次に締めるようにしていきます。日次で締めることで、経理部門では、各部門で設定した月次計画と現在の値を見比べることで、月末の予測が立てやすくなります。
以上述べてきた内容をまとめると、下図【業務プロセス概観】のようになります。

【図 業務プロセス概観】
次回は、今まで述べてきた業務プロセスを、どのようにパッケージ導入を行っていくことで実現していくかについて述べていきます。
(第3回 「基幹業務システム構築におけるパッケージ導入の留意点」 につづく)
著者プロフィール
深井 幸三 (フカイ コウゾウ)
株式会社富士通総研- 1982年 (株)富士通関西システムズ入社
組立業、装置業顧客における生産管理システムの企画・開発 - 1996年 ラインマネージャー製造現場コンサル、SCM構築コンサル
- 2007年 (株)富士通総研出向
中堅製造業顧客を対象としたSCM企画コンサル活動 - 現在の主な活動内容
装置業、加工業、組立業のエンジニアリングチェーンとサプライチェーンにおける業務効率化を目的とした業務改革を伴った情報システム導入企画コンサルティング。
利益体質改善のための販売活動、生産活動における部門横串での製品別、顧客別の原価の見える化コンサルティング。
「失敗しないERP」シリーズ第2弾
中堅規模の食品製造業における失敗しないERP構築について
- 第1回「経営レベルで目的とすること」 [2007年9月20日掲載]
- 第2回「業務プロセス面で何を行っていくか」 [2007年10月4日掲載]
- 第3回「基幹業務システム構築におけるパッケージ導入の留意点」 [2007年10月18日掲載]


