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特集 成長企業のトップに聞く

神町電子株式会社 代表取締役
板垣 政悦 氏 インタビュー

[ 2007年11月20日掲載 ]

従業員を大切にして30年 工場敷地内に保育園も併設!

神町電子株式会社 会社概要

本社

山形県東根市一本木1丁目1番7号

設立

昭和54年9月11日

資本金

1,000万円

従業員数

90名

事業概要

ATM(現金自動預け払い機)の製造・修理、医療機器手術用アクセサリー組み立て、走査型電子顕微鏡製造、HDDデータ消去装置製造、生化学自動分析装置の製造、リサイクルトナー・リボンの製造及び販売など

ホームページ

神町電子株式会社ホームページ


神町電子の創業は1979(昭和54)年。まもなく30年に及ぼうとする老舗の電子機器製造企業である。同社代表取締役 板垣 政悦 氏のモットーは「人を大切にすること、従業員を大切にすること」。人を大切にし、人との出会いが企業を支え、成長させてきたという。特に従業員への利益還元を重視し、工場敷地内に保育園まで併設してしまったほどである。そんな板垣氏の人との出会い、そして地元に寄せる熱い情熱をお聞きした。


請われて会社を興し、人との出会いで拡大

私は、元々会社を興そうとも社長になろうとも考えていたわけではありません。中央から地元に進出してきた工場がありまして、その会社が農家に内職として、梱包などの仕事を地元の奥さんたちに依頼していました。そのとりまとめをしていたんです。

ところが、内職をしていた奥さんたちが一ヵ所にまとまって仕事をした方がいいといいだしました。そうしているうちに工場を建てることになり、かつがれて社長に納まりました。30歳の頃の話です。

十数人の小さな工場でしたよ。しかし、工場が建つとあれもこれもと紹介で仕事が増えるもので、これにつれて仕事も増えていきました。やがてVTRなど音響機器の部品、さらには留守番電話やヘッドホンステレオの仕事も来て、これらは完成品として組み立てて納品しました。

景気の向上に連れ、工場も次第に大きくなりました。でも、とても順風満帆とはいきません。オイルショックのときは大きな打撃を受けています。工場も移転しましたし、規模も1/3に縮小しました。そんなときに、ATM(現金自動預け払い機)の修理の仕事があり、これで息を吹き返しました。

修理を続けるうちに、使えるものはきちんと直して使い続けなければならないことに気づき、思いついたのがプリンタのリサイクルトナーです。東京へ出て技術を習得し、この山形県の東根で事業を開始しました。今ではどこでもやっていますが、東北では弊社が初めてでした。

おかげさまで業績も安定し、山形県東根市大森に施行上団地内に大森工場を完成させています。地元企業としては、唯一団地内に工場を建てています。


GLOVIA smartで在庫を半減

最近変わったこととしては、部品や材料の自社仕入れがあります。富士通の「GLOVIA smart 組立」を導入したのは、これが契機なんです。弊社では完成品まで組み立てて納品しますが、それまでは部品はお客様からの支給でした。ところが支給ではなく、自分で仕入れて組み立ててくれと依頼されましてね。これは、弊社にとって大きなステップアップになる。しかしその反面、在庫を持つリスクを抱えることになります。今から、2年ほど前の話です。

もちろんステップアップを目指し、挑戦しましたよ。このビジネスは順調に伸びましたが、やはり在庫が負荷になりますし、部品点数も急増して、手作業で発注書を書くのも限界になりました。そこで、導入したのがGLOVIA smartというわけです。

効果はすばらしい、びっくりするほどです。部品の発注から納品までのリードタイムを大幅に削減できましたし、今まで月に1回の発注も2回に増やすことができましたし、納品は3回になり、在庫数は半減しました。半減です。これほど経営にとっての大きなメリットはありません。

工場内に保育園を併設するほど従業員が大切

社長なんて1人じゃ何にもできません。従業員あっての会社です。ですから従業員を大切にしてきました。その一環として、工場内に保育園を併設したほどです。

工場には休み時間があるのですが、産休明けで出てきた女性がその休み時間にミーティングルームに来ない。聞くと搾乳しているというんですね。休み時間に絞って冷凍庫に入れておき、家に帰ってから温めて飲ませるらしいんです。そういえば、前にも似たようなことがあったと思い出し、考えついたのが保育園です。これがあれば、子供を預けて、安心して働けるし、授乳することもできます。

大森工場と「さくらんぼの森 保育園」

いいアイディアと思ったのですが、ずいぶん反対されましたよ。事業として成り立たないとか、パートもあわせて百人しかいない社員に必要ないとか。銀行は融資さえしてくれませんでした。でも、反対されればされるほど燃えるんです。かなりの持ち出しになりましたが。でも、これが話題となってあちこちのメディアで取り上げられました。

従業員は本当に大切にしてきました。年3回の賞与を提供していますし、山形空港ができたときは、それを記念して社員全員を海外旅行へ連れて行きました。税理士に怒られました。こんなものは福利厚生費として認められないというんです。また持ち出しになりました。でも、海外旅行は続けました。社員が喜んでくれるからです。

地元も大切にしています。この山形県東根は、サクランボの最高級品「佐藤錦」発祥の地なんです。そのPR用の会社を興しまして、物産協会と提携して6月に収穫したサクランボを半年ほど氷冷保存する技術開発に挑戦しています。来年には山形東根の佐藤錦をのせたクリスマスケーキやおせちが市場に出回ると思います。ぜひ、期待してください。


日本のものづくりには底力がある

弊社の製品の特長として少量多品種があります。幅広い製品の心臓部を作成しています。例えば電子顕微鏡とか、医療機器とか。HDDデータ消去装置は完成品まで自社生産しています。このような体制は流行りの海外工場では対応できないと思います。

日本ではものづくりの空洞化が叫ばれていますが、私は日本の製造業には底力があると思います。その強みの1つが品質です。私たちは不良率0%を目指しています。このレベルはとても新興国に真似できるものではありません。

もう1つがスピードです。指定された厳しい納期を厳守する、特に修理品に至っては3日以内に完了する。これが、海外では絶対に不可能です。

今後の展開は自社設計の製品

ITは好きですね。大変期待しています。ここら辺ではインターネットを初めて導入しましたし、ホワイトカラーには1人1台のパソコンを実現しています。ものづくりにもITは活用できると思いますよ。今は指示書などを紙ベースで配布していますが、これを電子化できないかと考えています。

残っている課題としては、月次処理を速くしたいですね。末で締めて確認できるまで1週間ほどかかる。できれば数日で見たいし、可能であればリアルタイムに見たいと考えています。これは経営者として当たり前の要求だと思います。

今後の展望としては、自社設計の製品を生み出したいですね。そのための部門もあり、今はその活躍を楽しみにしています。お客様にも大いに期待していただきたいと思います。



若い経営者へのアドバイスというと「思いついたらすぐに行動すること」と答え、さらに「従業員を大切にすること。私も、従業員と人との出会い、そして地元を大切にしてここまでやってきました」と加えます。ここにも、いかに板垣氏が従業員、出会い、地元を重視しているかがわかります。そんな板垣氏ですが、従業員に聞くとワンマンでは決してないそうです。「カリスマ性がありますね。発想が奇抜で柔らかいので私たちはそのフォローが大変です」と、笑顔で語ります。アットホームな環境で、全社員が新たな事業に挑戦しているようです。2年先、5年先がとても楽しみな会社に見えました。

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