「失敗しないERP」シリーズ第3弾
失敗しないSFAシステム構築について
第1回「なぜSFAシステムは失敗しやすいのか」
[2008年2月18日掲載]

SFA(Sales Force Automation)が日本で取り扱われるようになって10年が過ぎようとしています。SFAはアメリカで考えられたシステムで、アメリカの営業担当者と日本の営業担当者の活動スタイルや管理方法の違いもあり、日本での浸透には様々な問題が発生している状況です。そもそも発祥の地であるアメリカでもSFAへの取組成功率は60%を切ると言われており、もともと導入が難しいシステムと言うこともできます。
この掲載記事では、富士通の日本でのSFAシステムへの取組経験を通じて、失敗しない構築方法について述べていきたいと思います。第1回では、なぜSFAシステムは失敗しやすいかについて考えてみたいと思います。
SFAシステムの特性
SFAシステムは一般的には営業部門を中心とした、お客様情報、商談案件情報、営業活動情報を扱うシステムです。SFAで扱う情報は基幹システムで扱うようなデジタルな情報に比べると、かなりアナログな情報です。そのため、データの扱いも数値演算結果ではなく、入力された情報をいつ、誰に、どう知らせるのかということが重要になります。イメージ的には情報共有を実現するグループウェアシステムとか、ナレッジマネジメントシステムに近いものといえます。このことは、言い換えればシステムのあり方よりも、情報の運用の仕方がポイントということになります。
SFAシステムが失敗しやすい原因の一つには、システムと同等以上に運用が重要であるということが疎かにされてしまう、あるいはシステムとして解決しようとしてしまうことが挙げられると思います。
SFAシステムの失敗パターン
SFAシステム構築における失敗のパターンは以下の3つに大別することができます。
1) システム構築を検討したが導入に至らなかった
実際には構築に取り組まなかったので、投資も発生せず失敗とは見えないケースですが、実際には取り組むことを先送りにしたため目に見えない損失を招いている可能性があります。
導入に至らない原因としては、主に以下があります。
- 対投資効果が明確にできずに社内の合意を得られなかった
- 要件をヒヤリングしたらシステム構築予算を大幅に上回ってしまった
- RFPを提示し各ベンダに提案させたがどの提案も一長一短で満足できなかった
2) システム構築はできたが使用されなくなってしまった
上記のハードルをクリアして導入にはこぎつけたものの、間もなく利用頻度が下がってしまうケースです。
使われないシステムとなってしまう主な原因は以下の通りです。
- 利用者(現場の営業部隊)にとってメリットが感じられない
- 報告を上げても反応がないので何のために使っているのかわからない
- 利用者にとって使いにくいシステムになっている
- 使用しなくても営業活動はできる
3) システム構築、運用しているが狙った効果が出せない
このケースは、まがりなりにも構築、運用というレベルまでたどり着いているので、失敗というよりむしろ成功に近いかもしれません。がしかし、やはり当初の導入目的を達成できないということでは失敗に分類できます。このパターンはトップダウンで導入、運用が行われており、利用は半義務化されている場合に多く見受けられます。ただし、狙いと取組を見直して軌道修正することで成功へ転換させることができるパターンということができます。
これらの失敗パターンから言えることは、SFAシステム構築においては検討 - 導入 - 運用と各々のフェーズにおいて失敗の要因が潜んでいるということです(SFAシステム構築に限ったことではないのかもしれませんが)。そしてその失敗要因をどう排除するかが失敗しないポイントと言うことができます。
SFAシステムへの早期取組みの勧め
勘と経験と根性がものをいうという営業の世界において、自分のやり方、スタイルで活動してきた営業さん達にとっては、ともすれば「管理される」「束縛される」「手間隙がかかる」「煩わしい」「使わなくても売上は上がる」という印象を持たれがちなSFAシステムです。しかしながら、会社が営業人員を増員せずに売上を延ばすためには、
- お客様のことを良く知って喜ばれる製品、サービスをお届けする
- 個人プレーから組織プレーへ変わる
- 営業一人一人の営業力を向上させる
といった様々な取組が必要となります。これらの取組は、システムとして支援できることもあれば、人間的なルール(運用)として変えていかなくてはいけないこともあります。
SFAシステム構築には、パッケージを導入する、あるいはそれをカスタマイズする、新規に開発するといういくつかの方法がありますが、構築すること自体はある程度の期間と費用があれば可能です。ですが、それを使いこなして効果を上げるためには、利用者の慣れや継続的な利用、場合によっては営業活動の意識改革まで行う必要があります。つまり、システム構築して終わりではなく、運用状況を評価し、システム改善、運用改善を繰り返して育て上げていくことが重要な仕組みであり、その取組には時間がかかります。
これらのことから、入念な企画・設計・開発という構築方法よりは、規模も範囲も機能も小さくても構わないので早く始めて、その結果をフィードバックしながら利用範囲や機能を広げていくという構築方法の方が成功の確率が高くなります。
以下はパッケージをベースとしたステップ導入のイメージです。

パッケージベースの導入の場合には、まずはノンカスタマイズでパイロット部門での利用から始めることをお勧めします。利用しながら利用者の慣れや運用方法を確認しながら徐々に適用範囲や利用機能を広げていくという方法です。この方法を実践する上で重要なのは、柔軟に発展していくことができるパッケージを選定するということになります。
次回はSFAシステム検討時の考え方について述べたいと思います。
著者プロフィール
工藤 嘉英 (クドウ ヨシミ)
株式会社富士通東北システムズ- 1984年 株式会社富士通東北システムエンジニアリング入社
1997年 富士通株式会社出向。SFAのコンセプト「SalesForceVision」の立上げ、推進
1998年 株式会社富士通秋田システムエンジニアリング復職 - 現在に至るまで、SFAシステム構築のコンサル、導入支援、開発を継続して行う。
構築に関わったシステムは30社に上る。 - 現在の主な活動内容
SFAパッケージ(GLOVIA smart CRM FASTSFA KM+、CRMate)、サービスの企画、提供他
「失敗しないERP」シリーズ第3弾
失敗しないSFAシステム構築について
- 第1回「なぜSFAシステムは失敗しやすいのか」 [2008年2月18日掲載]
- 第2回「SFAシステム検討時の考え方」 [2008年2月28日掲載]
- 第3回「失敗しなかったSFAシステム構築」例 [2008年4月2日掲載]


