「失敗しないERP」シリーズ第3弾
失敗しないSFAシステム構築について
第3回「失敗しなかったSFAシステム構築」例
[2008年4月2日掲載]

これまで失敗しないSFA(Sales Force Automation)構築について述べてきましたが、今回(最終回)は失敗しなかったSFAシステム構築の例について述べてみたいと思います。
- 営業部門と製造部門の連携に活用した例
- 狙いを絞って大きく育てる例
- 入力端末として携帯電話を活用した例
営業部門と製造部門の連携に活用した例
最初は電子製品に組み込まれる部材の製造販売を手がける企業様での例です。営業担当者の活動は顧客企業の製品企画を察知し、その製品に組み込む部材の提案を行います。顧客企業の製品に組み込むため、部材はオーダーメードになることがほとんどです。そのため商談が発生するたびに製造部門に対して「試作品作成」依頼や「見込生産」依頼、「クレーム対応」依頼などの様々な依頼をすることになります。従来は書類押印回送のルールとグループウェアの組み合わせで依頼事項を管理していましたが、依頼した事項の状態確認がしにくく、また納期情報の確認も営業担当者がいちいち工場に確認の電話をして行うという状況でした。
一方、製造部門からすると依頼された事項が、どんな顧客のどんな商談で現在はどんな状況なのかが把握しにくく、製造部門内での優先順位の判断がしにくい状況でした。そのため、声が大きい営業担当者の案件や、毎日プッシュのある依頼案件から処理するのが実態でした。営業担当者は、おのずと営業活動の多くの時間を製造部門へのプッシュに費やしてしまうということになり、お客様対応に時間が割けないという悩みを持っていました。
そこでこの企業様では、商談情報管理(SFA)と連携した依頼発行の仕組みを考えました。そうすることで製造部門でも商談状況を理解して作業にあたれるようになると同時に、営業担当者は自分が依頼した事項について状態確認が容易になり、毎日の督促電話から開放されました。また、製造部門に正しく伝えるために、より正確な商談情報を入力するようにもなり、営業部門での商談情報共有もレベルアップしました。営業支援システムを営業部門だけで利用するのではなく、他部門との連携で活用することによってより大きな効果を得ることができた例と言うことができます。
狙いを絞って大きく育てる例
また、同社では次のステップとして受注予測の精度アップに取り組みました。一旦商談が成立すると、その部材を組み込んだ製品が作られる限り受注は継続的に見込むことができます。営業担当者は自分が担当している顧客の製品がいつまで、どれくらいのペースで生産されるかを予測しながら受注予測を行います。また、新規商談についても受注時期と受注後の予測をします。
この予測により、早期に期毎、年度毎の売上を予測することができるようになります。従来は取引実績からの予測しかできなかったのが、お客様の状況をよく知っている営業担当者の精度の高い予測ができるようになります。会社としてはメリットの多い取組みですが、現場の営業担当者にとっては毎月の売上予測を入力することになります。その入力作業が負荷と感じられないよう入力インタフェースを工夫することはもちろんですが、一番のポイントはその入力を軽々とこなす営業担当者のパソコン取り扱いのリテラシーの高さです。約一年間の商談活動登録、製造部門への依頼業務などをSFAでこなすことに慣れたからこそデータ入力もスムーズに行えていますが、この取組みをSFA導入初期からスタートさせていたらきっと使い切れずに失敗に終わっていた可能性が高いと思われます。利用者のリテラシーも考慮し、小さく入れて大きく育ててうまくいっている例と言うことができると思います。
入力端末として携帯電話を活用した例
次に紹介するのは携帯電話をうまく活用した飲料メーカー様での例です。この飲料メーカー様では、配下の販売会社の営業担当者の活動=市場情報を把握することをテーマとしていました。SFAシステムを導入し、営業担当者の報告を義務づければ活動状況は把握できるようになりますが、販売会社の営業担当者全員にパソコンを配布することは費用面、リテラシー面で厳しい状況でした。そこで誰でも持っていて、誰でも操作できる携帯電話を活用することにしました。
携帯電話を活用しようとする場合、パソコンは既に配布済みで、外出時の補助ツールとして携帯電話を利用するのが一般的ですが、この例では営業担当者には携帯電話しか持たせない運用にしました。また、単純な文字による報告だけではなく、自分が営業活動して獲得した棚スペースを携帯電話のカメラで撮影し、写真付きで報告できるようにしました。写真付きの報告は先月の棚状況と今月の棚状況をビジュアルに比較することができるので、報告を受ける側はもちろん、報告する側としても自分の活動成果を確認することができると喜ばれています。
携帯電話を活用する際には以下に示すようにいくつかのポイント(注意点)があります。
- 軽くて持ち運びがし易い一方、紛失するケースが多いため、紛失を想定したセキュリティを考慮すること
- 画面が小さいので画面遷移が多くなる傾向あり。操作が煩雑にならない工夫が必要
- 誰でも使えるが、使えるというレベルが人によって違う(特に年齢層によって)ことを考慮した操作性にすること
- 外出時にできることによって事務所での作業が軽減できること
- 携帯電話ならではの特徴はなるべく活かすこと(カメラ、バーコードリーダ等)
携帯電話をはじめとする小型の端末装置については、それらを取り巻く環境の変化のスピードがパソコンに比べても格段に早いのが特徴です。3ケ月前まではできなかったことができるようになったり、昨年まで使えていた端末が今年はもう売っていなかったりします。システムの入出力装置としては安定性に欠ける反面、普及率や操作の容易性を考えると積極的に活用するべき端末装置と考えます。ただし、活用するにあたっては、環境の変化に対応でき、セキュリティ等が十分配慮されたパッケージやサービスを選ぶことをお勧めします。
SFAシステムは育てるシステム
さて最後になりますが、SFAシステムは導入して終わりではうまくいきません。営業活動を取り巻く環境の変化や、取組みテーマの変更、営業担当者のリテラシー、システム技術の進歩など様々な変化に合わせてSFAシステムも成長させて行かなくてはなりません。このSFAシステムの成長にはそれを支える組織的な体制はもちろん、その活動やシステム更新を実現するための費用も必要となります。SFAシステムを検討する際には、是非導入に関わる一時費用だけでなく、長期的に育てるための取組みを支援する費用も合わせてご用意いただくことをお勧めします。
著者プロフィール
工藤 嘉英 (クドウ ヨシミ)
株式会社富士通東北システムズ- 1984年 株式会社富士通東北システムエンジニアリング入社
1997年 富士通株式会社出向。SFAのコンセプト「SalesForceVision」の立上げ、推進
1998年 株式会社富士通秋田システムエンジニアリング復職 - 現在に至るまで、SFAシステム構築のコンサル、導入支援、開発を継続して行う。
構築に関わったシステムは30社に上る。 - 現在の主な活動内容
SFAパッケージ(GLOVIA smart CRM FASTSFA KM+、CRMate)、サービスの企画、提供他
「失敗しないERP」シリーズ第3弾
失敗しないSFAシステム構築について
- 第1回「なぜSFAシステムは失敗しやすいのか」 [2008年2月18日掲載]
- 第2回「SFAシステム検討時の考え方」 [2008年2月28日掲載]
- 第3回「失敗しなかったSFAシステム構築」例 [2008年4月2日掲載]


