リックテレコム「月刊ソリューションIT 2004年11月号別冊付録 季刊IT化経営最前線」掲載記事
GLOVIA共通トピックス
リックテレコム「月刊ソリューションIT 2004年11月号別冊付録 季刊IT化経営最前線」掲載記事

「GLOVIAと他のERPは、根本の設計思想=アーキテクチャが違います」。そう語るのは、富士通の俵一雄テクニカルアドバイザだ。一般のERPが業務支援を目的とするのに対し、経営支援システムを目指すGLOVIAは、管理会計機能を徹底的に強化。明細レベルの分析を可能としている。多角度かつ詳細な分析により、現状そして将来の経営状況が見えて来るという。

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GLOVIAは総じて「ERPパッケージ」というジャンルに入れられるだろう。だがいわゆる欧米系のERP製品とは本質的に大きく異なっている。欧米系は1つのパッケージにすべての業務アプリケーションをそろえ、提供しようと考えたもので、目的は業務統合支援だ[補足1]。対してGLOVIAは、企業会計をベースに経営管理機能の統合を図るもので、経営支援を目的とする[補足2]。
企業活動が多岐にわたるようになり、企業会計の重要性が大きく変化してきた。従来は「財務会計」さえしっかりやっていれば十分だった。非上場の企業であれば、最低年1回の税務申告さえできればよいといっても過言ではない。銀行から借入をすれば商法上の報告が必要になるし、上場すれば有価証券報告書が必要になる。だがそれらはあくまで財務会計上の報告の域を出ないものだ。
財務会計は、いわば企業の「小遣い帳」に過ぎない。資金の出入りを管理し、年に1回ないし2回、外部に対して申し開きができれば良いというレベルだ。
この状況はかなり長く続いてきた。景気が良く、右肩上がりの成長が期待できた時期には、それでも十分で、「会計の仕組み」は数ある業務の中の「One of them」の仕組みとしか捉えられず、またそれでも構わなかった。
しかし世の中は変わった。景気が停滞し、売上の伸びはもはや期待できない。また売上の中身自体も変わってくるとともに、今まで売れていた物が売れなくなったが原因がよく判らないといったことが顕著になった。
周知のように、2001年から2002年にかけて、老舗と呼ばれた企業が相次いで倒産した。規制緩和やグローバリゼーションの波の中で系列は崩壊し、固有のマーケットや商権があっという間に失われる。劇的な技術革新によりこれまで優位だった技術やスキルが通用しなくなり、あっという間に陳腐化していく。
こうした環境の変化により、将来に対する不安は急激に増大してきた。世の中やマーケットがどの方向に動いているのか、またその中で自社の舵をどちらに取れば生き残れるのかを各社が模索している。そうした中、「経営の羅針盤」としての企業会計の意味合いが非常に重要となってきた。
[補足1] 目的は業務統合ゆえ各業務アプリは会計を含め相互に密結合の連携が要となる
[補足2] 目的は経営支援ゆえ各業務アプリから会計へは確定情報での疎結合連携が要となる
GLOVIAはまさに羅針盤となるべく開発されたERPだ。各業務部門で発生し各業務モジュールで処理されたデータが即座に会計システムに連携される。会計システム側ではデータを随時処理し、毎日決算が締まる「デイリー・クロージング」を実現できる。
またワークフローやポータル機能を装備し、担当者の業務効率向上を支援。決算資料を短時間で容易に出力できる。
だが同製品の最大の特徴は、管理会計に必要な高度な分析機能にある。
管理会計用データウェアハウス「Financial Data WareHouse」(FDWH)を標準装備しており、業務で発生したデータを「明細」レベルで蓄積していけるのだ。
しかもこのデータには、商品や販売チャネル、顧客などの非会計情報がヒモ付けられている。
従来、会計1データの「長さ」には限界があった。科目や内訳、部門、金額といった限られた項目しか持たせることができず、1レコード200バイト程度が精々だった。月間データも数十万件程度が限界。これはコンピュータやデータベースの処理能力に限界があったためで、情報の伝送・処理・蓄積に大きな負荷をかける設計がコスト上不可能だったからに他ならない。
だがコンピュータの性能が飛躍的に向上しコストが劇的に低下したことにより、こうした制約はなくなった。GLOVIAでは、ユーザーが会計情報の属性を自由に追加変更できるし、月間データも1000万件程度までが既に処理可能だ。
これにより、従来から問題となっていた「財務会計と管理会計の数字の不一致」は完全に解消された。GLOVIAから出力する帳票は、外部向け財務会計資料も経営者向け管理会計資料も、すべてFDWHのデータを元に作られるため、データの不整合は発生しない。
また明細レベルでデータを管理しているため、柔軟な分析が可能だ。分析軸の切り替えやドリルダウンにより、必要な情報を容易に入手できる。
「大容量データの処理」と聞くと、レスポンスが懸念される。だがGLOVIAなら、月間数百万件のデータでも、処理に要する時間は数秒以下だ。なぜこうした管理が可能になったのか? それはITのインフラが大きく変わったからだ。検索技術を始めとする富士通の最新テクノロジーを駆使できるうえ、ネットワークやメモリ、DBの価格が驚異的に下がった。その結果、例えば20年前に1000万円以上した1ギガのメモリが、今は400円以下、つまり2万5000分の1になったということが大きい。
富士通では、1レコード2000バイトのデータが月間500万件ほど発生している。それを2年間分持たせると、240ギガになるから、20年前ならメモリだけで25億円かかった計算になる。それが今では単純換算ではたったの10万円だ。この大きな違いを認識していないユーザーやERPベンダが多いように感じる。折角使えるリソースのメリットを享受せず、20年前と同じアーキテクチャに拘っているようにみえる。
今やメモリに関しては、ほとんどコストを意識する必要がないほどだ。1レコードが2000バイトでも、月間500万件のデータが発生しても、不安に感じる必要はない。会計データを、20年前には考えられなかったような詳細なレベルで管理できるのだ。
その結果、マネジメントのクォリティを大幅に向上させられる。予測の精度が上がり、業績評価制度における直接の責任関係が明確になる。企業の現状と将来が、よりクリアに見えてくるわけだ。
すでに先進企業のいくつかは、経営管理の中心に企業会計の明細データを置き、様々な管理階層レベルでの分析に活用している。またそうした経営管理を目指す企業は確実に増えている。
ただここでの問題ポイントは、新システムを導入し、少々学習したからといって即身に付いて効果がでるものではない、これはマネジメント・リテラシー、つまり経営の読み書き能力の問題であるという点だ。必要なことは、毎日毎日データを自分で見て判断し、問題を発見したら原因を分析して対策を練る。そうしたサイクルをある期間回していかないと、組織として絶対に身に付かないという、積上げのプロセスが重要である点だ。
逆に言えば、このサイクルを着実に回していけば、間違いなく事業セグメント別のキャッシュフローの実態が分かるようになる。さらにこれが可能なら、予算責任と予測責任が明確になる。月次で予算と実績を対比して、差があったらその中身を調べる。予算のロジックが間違っているのか? それとも予算の前提条件が変わったのか? 不確定要素だったものが確定したためなのか? 明細レベルのデータを様々な角度から分析することで、こうした原因の追及が可能になる。原因がハッキリしたら、では翌月の予算はどう変わるのかという予測の話になるわけだ。
こうした予測があって初めて、今後の事業施策をどうするかという話ができることで、経営の羅針盤として機能していく。こうした財務数値の活用の仕方が今後は絶対に必要になってくるだろう。
正直なところ、こうしたサイクルを確実に回している企業はまだまだ極めて少ない。まず、予算そのものを整合性を持ってキチンと作っている企業が少数派だし、作りはするものの、作りっ放しが多数派で、詳細な予算実績分析に手をかけていない。そのため予算の整合性がとれず、実態を分析できない。これは旧来の財務会計の、経理の勘定科目という単位で企業活動を評価することに馴れてしまっているからに他ならない。
また、ビジネスサイクルごとのキャッシュ・イン・アウトフローのモデルを構築できていない企業が殆どだが、それが構築できなければ、キャッシュフローの予測管理は絶対に不可能だ。
一体どれだけの企業が実態に即したキャッシュフローの予測管理をしているだろうか? 僅かな先進企業以外、ほとんどないのが実態だろう。一般に、儲かっている企業や潤沢にキャッシュを持っている企業は確実にやっていない。毎月10億円のフリーキャッシュフローが確保できている企業では、1~2億円の現預金残の予測差異が生じようがびくともしないからだ。
しかし、今の業績が良いからといって安心できる時代ではない。ニッチなマーケットで圧倒的に強かった企業が、あっという間に潰れる時代だ。
先行きの業績が不透明になってきたから、では経営のあり方を見直してみましょうと言っても、そうは問屋がおろさない。前述したように、経営管理の基本的なマネジメント手法や運用方法は、時間をかけて作り上げるしかないからだ。そしてそこには、ルールや制度、考え方、そして情報をハンドリングするためのGLOVIAのようなシステムが必要になる。
富士通では、最終的に企業のITソリューションはすべて経営管理に落ちてくると考えている。業務システムがうまくまわるのは大事だ。けれども業務システムがまわりさえすれば良いというのは過去の話だ。それは営業力と技術力があれば企業が成り立った時代。今はもう1つ「経営力」が問われている。それを支えるのがFDWHというわけだ。
今後富士通では、GLOVIAを大幅に機能強化する。その要となるのが、「Enterprise Data Ware House」だ。
現在、会計の明細データはすべてFDWHに格納されている。だが企業内には、会計情報とヒモ付かない明細情報もある。それらのデータも見られるようにしようというものだ。人事給与や販売物流などのモジュールからより詳細なデータを取得しより巨大な「バケツ」に放り込むイメージだ。
こうした情報の可視化により、将来予測の精度がさらに高まると思われる。
たとえば見積情報や受注情報などはたとえ金額が入っていても、確定したものではない。入金の再確認をしたかどうか、信用できる取引先かで、確度が変わってくる。見積時点では可能性は低いが、受注すればほぼ間違いないといった具合にだ。こうした「堅さ」の異なる情報を見ようというものだ。FDWHには確定情報しか持たせないが、EDWHでは周辺の曖昧な情報も取り込む。見積案件がどれだけあり、金額換算するといくらになるのか。そういった分析をすることで、将来をさらにクリアに見られるはずだ。
例えば人件費のシミュレーションも可能にしたい。人件費に関する管理レベルは、今後ますます細かくなり、最終的には従業員個人に行き着くだろう。部門の扱い方も変わってくる。今まで組織変更を必要としなかった企業でも、今後は頻繁に組織を見直さざるを得ないはずだ。
そこでは従業員ナンバー単位でのデータ管理が必要になる。新組織と旧組織の比較・組替などは、個人単位で基礎データを管理していなければ不可能だ。
物流コストのデータ管理も重要だ。今後、物流費率はますます増大していくと考えられる。それを最小限に抑えるには、やはり管理の粒度を細かくする必要がある。場合によっては、混載していったもの1ケース、あるいは商品1個にかかっている費用までブレークダウンすることも求められるだろう。もちろん、ただ細かいデータを持ちさえすればいいのではない。どこで中括りすべきかはマネジメント・リテラシーの問題だ。
そして原価計算だ。仕掛残高など、今はドンブリ計算しているものについても、シビアにコスト計算することが求められる。
これだけビジネスのサイクルが短くなり、設備投資が頻繁に行われると、どれが売れているのか損しているのか、見えなくなってくる。ある企業では、年間に300品目の新商品を投入し、99%については1年内に撤退する。こうしたビジネスの見極めには、原価の正確な把握なしには成り立たない。原価と市場価値を個別に見ていく。また仕掛品、製品も含めた棚卸資産そのものの有り高が時価として適正かどうかを見ていく。こうした多様な分析は、EDWHなしには実現不可能だろう。
機能強化のもう1つのポイントが「連結」だ。
FDWH の対象範囲を連結にまで広げ、グループ全体の明細データを管理しようというのだ。
連結に関しては国際会計基準の適用により、あるレベルでの対応は終わっている。だがそれはあくまで「制度会計」のレベルだ。GLOVIAでは、経営支援を視野に入れた事業管理連結を重視する。
グループ全体におけるセグメント単位で見た業績はどうか? 内部取引はどうなっているのか? 判断すべき内容と深さ、管理目的により、分析の切り口は変わってくる。当然、事業セグメントの中身が判れば、そのサブセグメントの情報が欲しくなる。事業本部別損益で充分かそれとも事業部別キャッシュフローが必要か。そういった多面的かつ多階層での分析には、明細データが不可欠だ。
今後、事業の分割や合併など、グループ内の再編は急激に進むと思われる。その時に、分析基礎情報として例えば従前との比較をするためにも、明細レベルのデータ保持が必須になるだろう。
