一貫した開発ポリシーで進化
完全互換確保で長期にわたり顧客を支援
「月刊ソリューションIT 2006年4月号」掲載記事
GLOVIA-C関連
J-SOX法の施行が迫るにつれ、ERPへの注目が高まり、どのERP製品も内部統制機能にどれだけ優れているかを強調している。それも重要なポイントだが、ERPの本質的な価値は根底の開発ポリシーにある。富士通の中堅企業向けERP「GLOVIA-C」は、ユーザーやパートナーの声を反映して短い周期で進化しながらも、その強化メリットをユーザーが享受できる仕組みを堅持する。ユーザーのビジネスを長期にわたって支えることを指向したERPと言える。

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中堅企業向けERP「GLOVIA-C」
各種調査によれば、GLOVIA-Cは何年にもわたって中堅企業向けERPのジャンルでトップシェアを堅持。2005年7月に出荷された「GLOVIA-C XI」も販売は好調に推移している。
ここ2~3年、ERPの中堅企業市場はベンダ間の競争が激しさを増している一方、ユーザー側の“選択眼”もかなり厳しくなっている。その中でもGLOVIA-Cがトップを維持できているのはなぜか。
GLOVIA事業本部プロジェクト統括部長の渡辺雅彦氏は「富士通は30年にわたり、国内で業務パッケージを開発・販売しており、顧客やパートナーの蓄積があります。それに加えて、開発ポリシーがぶれず、製品が着実に進化しているからではないでしょうか」と説明する。
バージョンアップ作業が半日
GLOVIA-Cの開発ポリシーには、(1)使いやすさの追求、(2)業務機能の充実、(3)明細の直接活用、(4)導入の簡素化、(5)新技術への対応という5つのテーマがあるという。各テーマに沿って開発ロードマップを描き、6カ月という短い周期で、新しい機能や付加価値を、マイナー/メジャーのバージョンアップの形で提供している。
「そんな頻繁にバージョンアップしていたら大変だ」と思われるかも知れない。一般にERPのバージョンアップは工数がかかり、コスト負担も重い。特にアドオンを多用していると、バージョンアップは難航する。更新されたERP本体とアドオンの整合性をとるのが難しいからだ。
ところがGLOVIA-Cの場合、前述した「導入の簡素化」という開発ポリシーの一環で、バージョン間の互換性をほぼ100%に高めており、「ユーザーのシステムによって異なりますが、V10からXI(イレブン)へのバージョンアップについては移行作業を半日から1日で終わらせることが可能であることを実際のユーザーで実証済みです」(渡辺氏)という。しかもそれは、アドオンを加えている場合でも、標準プロセスのまま導入している場合でもほぼ同じという。
GLOVIA-Cは、アドオンを認める領域と認めない領域を明確に切り分け、その間をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)で連携させている。アドオンアプリケーションがAPIに準拠している限り、システムに不整合が発生しない構造だ。
渡辺氏は「富士通はユーザーとの長い関係を指向しており、製品を改良したり、新しい技術や制度へ対応することで、ユーザーのビジネスを支援していく責務があります。そのために開発した新機能も、ユーザーが気軽に使えないのでは、まったく意味がないと考えています」と話す。
ユーザーがERPの製品比較をする場合、機能数の多寡に目を奪われ、互換性にはあまり注目しないものだ。ただ、基幹業務システムは長期間運用するもの。昨今のビジネス環境や情報技術の流動性を考えれば、後々のバージョンアップは避けて通れず、互換性は重要なポイントとなる。GLOVIA-Cはそこにこだわる。
さらに、既存ユーザーの要望を吸い上げるのはもちろん、現場で開発や保守を手がけるSIパートナーとも、製品改良に向けて定期的に情報を交換している。「我々ベンダが気づかない細かな改善点を現場の人たちは教えてくれます。できる限り、現場の声を製品に反映させていこうとしています」(渡辺氏)とのこと。
こうした活動と一貫した開発ポリシーが相まって、製品として着実に発展し、それをユーザーが手軽に享受できるからこそ、GLOVIA-Cは市場で評価されているのかもしれない。
他社製品ともドリルスルー
では、GLOVIA-Cは一貫した開発ポリシーの下、どのような機能や付加価値を実現してきたのか、また、実現しようとしているのか。象徴的なものを紹介しよう。
(1)「使いやすさの追求」はある意味、永遠のテーマかもしれないが、最新バージョンのGLOVIA-C XI (会計情報システム)でも、経理処理の基本となる「振替伝票入力」の操作性を格段に向上させており、ユーザーからも好評を博しているという。
たとえば、入力画面の基本レイアウトを見やすいように変え、入力個所の自動強調など細かな改良を加える一方、マウス操作をなるべく排除するためファンクションキー対応を果たし、業務処理効率を高めた。こうした改良の多くは、ユーザーやパートナーの声を反映したものという。
(2)「業務機能の充実」では、日本の商習慣を考慮している。
海外製ERPはベストプラクティスを重視するので、ユーザーが標準プロセスに合わせるか、合わない部分はアドオンで処理せざるを得ない。その点、GLOVIA-Cは「日本では標準プロセスだけで業務を回すのは難しく、どうしてもレア処理が混じる。レア処理もなるべく標準プロセスとして取り込み、使いやすさを高めていくべき」という方針を持つ。
その方針の下、たとえば、繰延支払や一部支払、金額変更といった支払い関連のレア処理についても、従来から標準プロセスとしてカバーしてきている。さらに、次のマイナーバージョンアップでは、使いやすさをいっそう高めるという。
もちろん、業務機能の充実ではJ-SOX法対応を支援する新機能も構想されている。既存機能としても、後述するFDWH(Financial Data Ware-House)の仕組みは、それだけでも内部統制活動に効果をもたらすものだ。
(3)「明細の直接活用」は、GLOVIA-Cの最大の特徴であり、「こだわってきた部分」だ。その活用の基盤となるのがFDWHだ。
FDWHは、振替伝票データを明細レベルで蓄積し、さまざまな角度での分析を可能にする。
GLOVIA-C XIからは「業務間ドリルスルー」機能により、振替伝票データから取引の原始伝票までさかのぼれるようになり、情報統合のレベルが一気に高まった。
現在も「分析キーの標準化、パートナーが持つパッケージ製品とのドリルスルー連携といった開発を進めている」と、ユーザーの明細活用を支援する機能の強化は続いている。
(4)「導入の簡素化」では、前述した互換性確保のほかにも、インストーラー機能の強化、マスタ整備のヒナ形提供などさまざまなアイデアで導入作業の軽減化を図っている。実際、導入期間の短縮につながっているという。
(5)「新技術への対応」で焦点となっているのがSOA(サービス指向アーキテクチャ)だ。SOAなら富士通が持つミドルウェアを基盤として、GLOVIA-C とパートナーが持つさまざまな業務・業種パッケージを有機的に結び付けられると見ている。
このようにGLOVIA-Cは、まだまだ発展性を秘めている。繰り返しになるが、互換性が保たれているので、ユーザーは苦労することなく、この発展性をビジネスに活かせる。長期に運用することを考えれば、GLOVIA-Cの本質的な価値は高い。
